脱炭素化が叫ばれる中、特に槍玉に上がっているのが石炭ですが、もしも石炭使用を止めてしまえば現在の生産国、使用国そしてその貿易というところに大きな影響が出るでしょう。
そこで、その現状をちょっとだけ調べてみました。
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shigen_nenryo/pdf/024_s03_02.pdf
エネルギー庁が平成30年に開いた「石炭マーケット研究会」という会の参考資料だそうです。
その中の図を一つ引用させてもらいます。
これは主要生産国の生産量と輸出量というものですが、見てびっくり。
中国、インド、アメリカという主要生産国はほとんどが自国消費です。
4位のオーストラリア、5位のインドネシアはほとんどを輸出しています。
輸入量ももっとも多いのは中国で、ついで日本。両国ともインドネシアとオーストラリアから多く輸入しています。
ヨーロッパは中国一国の輸入量よりも少ないのですが、こちらはアメリカとコロンビアからの輸入が多いようです。
使用量の統計を見ると、ダントツの1位が中国、ついでインド、アメリカ、ロシア、南アフリカと続き、その次が日本。ほぼ同じ程度でドイツとなっています。
どうやら、EUなどが主導して進めている脱炭素化と、石炭使用中止という圧力は、主に中国が標的のもののようです。
ついでに日本も痛めつけようということでしょうか。
ドイツがやや石炭消費が多いようですが、それ以外のヨーロッパ各国は石炭消費自体がかなり少なく、ここで使用中止の動きを強めても自国はほとんど被害がないということなのでしょう。
石炭の使用が減少した場合、経済的に影響を受けるのは輸出量の多いオーストラリア、インドネシア、コロンビアといった国々でしょうが、どうも危機感は感じられません。
オーストラリアでは砂漠に太陽光発電をずらっと並べれば世界有数の発電能力になるなどと夢物語を書いていますが、自国の石炭産業の行方への危機感はあるのでしょうか。
どうやら、日本はヨーロッパの脅しに屈しても中国はそうはならず、石炭産業も生き残ると踏んでいるのでしょうか。
石炭火力発電の廃止などを進めれば、コスト的には不利になるはずであり、その圧力に屈しなければさらに中国優位が強まることになるのでしょう。
日本は欧州と共倒れの道を選ぶのでしょうか。