杉山大志さんという方の記事を紹介しましたが、それによれば中国は石炭の大増産を計画、ということは石炭火力発電を増強するということでしょう。
さらに新規原発の建設を加速させるということです。
これは欧米日が目指す(と言っている)脱炭素化の動きを完全に無視しているわけですが、それだけでは済まず安価なエネルギーを得てそれでさらに自国の製造業の国際競争力を高め、世界の国々を圧倒しようという戦略のようです。
脱炭素化と称して進められている、化石燃料からの脱却は再生エネルギー発電や自動車の電気化などが主たる方策ですが、これらは現行の化石燃料使用の場合に比べて圧倒的にコスト高となります。
もちろん、コスト競争力などはほとんどありません。
そのため、脱炭素化を受け入れない国々には制裁を加えるといった手段で強制しない限りは進めることはできません。
発展途上国はこれを受け入れがたいとかなり抵抗していたのですが、欧米日の圧力で押し付けようとしています。
しかし、中国に対してこのような圧力が効果があるのかどうか。
世界の製造工場としてだけでなく、多くの先端産業すら取り込んだ中国を、経済制裁と称して取引停止にしたところで困るのは世界の方です。
ロシアや第三世界だけでなく、多くの国が中国になびきかえって欧米の方が疎外されることになりかねません。
さらに中国の目論む石炭火力発電や原発の増強は、中国の電力コストをさらに引き下げて工業産品の価格を低下させ、競争力を強めることになります。
太陽光発電パネルのシェアを中国が上げたのは、製造に大量に必要な電力を安価な石炭火力発電で生み出したためだということですが、それと同様の事例が今後も出続けることになるでしょう。
しかも、脱炭素化技術に不可欠なレアメタルの生産も多くのものは中国が抑えており、脱炭素化を進めるということが中国の覇権をさらに強化するということにもなり兼ねません。
ロシアの勢力をくじくために仕組まれたようなウクライナ紛争ですが、それを中国は利用し勢力拡大に有利に使っているようにも見えます。
これにさらに脱炭素化という欧米の大失策とも言える施策を完璧に利用し欧米を圧倒することになるのか。