いつも色々な専門家の方々の記事を楽しみにしている、FOOCOM.NETの「専門家コラム」ですが、今度は家庭科教育を専門に研究して居られる瀬川朗さんという方の「家庭科教育の今」という記事が始まりました。
60代の私にとっては、家庭科という学科は小学校の5,6年の時にほんの初歩のことを少しだけやったという覚えがあるだけですが、今はどうなのでしょうか。
現状について、特に家庭科の中でも「調理」について書かれていますが、実習の最初に学ぶのは「お茶のいれ方」だということです。
実は、「最初に学ぶ」と言ってもどの順番で実習を行うかは決まっておらず、各学校の年間指導計画で自由に決められるそうですが、それでも大体は「お茶」が一番なのでしょうか。
使われている家庭科教科書(それが2種類しかないというのも驚きですが)の東京書籍、開隆堂出版のいずれも、調理の最初として「お茶のいれ方」というものが扱われているようです。
その実際の教科書のページも引用されていますが、若干の差はあるもののどちらも懇切丁寧に湯の沸かし方から書かれています。
実は、私も完全に忘れていましたが、「お茶のいれ方」自体は昔の家庭科教科書にも掲載されていたそうです。
昭和36年の教科書の例がありますが、私が使ったのもこれでしょうか。
ただし、その扱いはかなり違っていて、家庭科の授業でも後半に「来客のもてなし」の項目の一部としてあるようです。
更に遡ると、戦前にも小学校(国民学校)の教科書にあるのですが、それは家庭科ではなく「修身・礼法」の一部であったそうです。
授業での意味はかなり変化しましたが、現代の小学生にお茶のいれ方を教える意味というのもは明らかなようです。
「自分がお茶を入れることができるか」という問いに、1989年の小学6年生と大学生は9割以上の人がYesと答えているのに対し、2007年には7割程度にまで下落、特に男子大学生は6割以下ということになってしまいました。
お湯を沸かして急須にお茶の葉を入れ、お湯を注ぐということが普通ではなくなったということでしょうか。
瀬川さんは着目していないようですが、「ガスコンロでお湯を沸かす」ということも、最近の子どもたちには難しいかもしれません。
「オール電化」で「IHクッキングヒーター」が普及してしまい、「ガスコンロ」というのは経験がないこどもも多いのでは。
実は、うちの娘の家もIH、孫たちはガスの火を見ることもなく大きくなっています。
心配しています。