FOOCOM.NET専門家コラムにおいて、松永和紀さんが今年より開始された機能性表示食品制度により表示された食品の中でも問題の大きかった「北の国から届いたブルーベリー」(八幡物産㈱)が消費者庁への届け出を取り下げるという記事を書いています。
この機能性表示食品制度というものは、食品中に含まれる成分に機能性(身体に良いとか言った効果)があるということが、他の科学論文に書いてあればそれを謳っても良いという、非常にずさんな制度であり、松永さんや他の専門家が当初から数々の批判を繰り広げていたものです。
この経過については私もこのブログに引用して紹介してきました。
もちろん、この制度は消費者庁への届け出だけで良いという、これも問題の大きすぎる規定を持っているもので、たとえ科学的に明らかに誤りであっても届け出を消費者庁が棄却するといったものではありません。
科学的な問題について判定するということもありません。
そもそも、その程度のずさんな制度であるということを消費者がすべて認識していれば別にどうでも良いような問題ですが、この科学リテラシー欠如の日本人相手には十分に効果があるという制度です。
しかし、松永さんの記事中にもあるように、この八幡物産が届け出に用いた資料の取扱および自社製品の認識などに大きな瑕疵があるとして、アントシアニンに関する科学者の集まりである日本アントシアニン研究会が消費者庁に働きかけるなどしてようやく取り下げに至ったようです。
日本アントシアニン研究会もこのような製品の機能性表示を認めていたら日本におけるアントシアニン含有食品の健全な発展を阻害すると危惧されたのでしょう。
また消費者庁も正式には動けないのでしょうが、非公式にやわた側に働きかけたようです。
これは仕方のないことでしょうが、ちょっと役所のやることとしては矛盾した行動と感じます。
機能性表示食品として届け出され、大げさに広告されている商品は多数あり、問題を抱えているものもこればかりではないでしょう。
しかし、あのトクホすらその根拠がかなり怪しいものもあるということも事実です。
「身体によい食品」などというものにあまり期待を抱かないことというのが最良の方策なんですが。