トンデモ科学の宝庫、NHKの朝の番組で紹介されていたものですが、「脱炭素」のシンボルのように考えられている水素を使って温浴施設の加熱をするということで、その水素も「自前で調達」してやろうという話です。
それに使うのは「廃棄物の」アルミニウム、それに企業秘密で調整したアルカリ溶液を加えて水素を発生させて使うということです。
ここで「廃棄物を使うのは良いですね」という無知丸出しのアナウンサーコメント。
アルミニウムは酸にもアルカリにも反応して水素を発生します。
その反応式は以下のサイトの通りです。
sciyoji.siteこの中にある反応式では水酸化ナトリウム水溶液を使っています。
2Al + 2NaOH + 6H2O → 2Na[Al(OH)4] + 3H2↑
このように金属アルミニウムが反応し水素を発生させながらアルミン酸ナトリウムとなります。
確かに「水素を発生させ」ることはできますが、金属アルミニウムという廃棄物といいながらも資源とできるものを反応させアルミン酸ナトリウムにしてしまうことのどこが良いことなんでしょう。
まあ大した規模のプラントではないようなのでその生成量も少ないのでしょうが、いずれはこれを廃棄物として処理しなければなりません。
アルミそのものの方がよほど楽かと思います。
なお、上記サイトにも注意されているように、「急激な反応により思わぬ事故を招く」恐れも強い反応です。
危なっかしくて見ていられないという思いもあります。
それもこれも「水素が脱炭素化のエース」という変な風潮にあるのでしょう。
エースどころかクラブの2にもならないような半端者だと思いますが。