爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「ジャズは本棚に在り」行方均著

ジャズという音楽は耳から聞いて楽しむのが第一でしょうが、ジャズに関する書物というものも数多く、それを読んでいくだけでも相当楽しめるものかもしれません。

この本では、著者の行方さん(ジャズレコードのプロデューサー)が手持ちのジャズ関係の書籍について、紹介するとともにそれに関する裏話なども書き連ねるといった趣になってします。

 

ジャズ関係の書籍といっても様々で、ビルボードヒットチャートのどこにジャズレコードがあるかといったことから、スウィング・ジャーナル誌の特集号、ジャズミュージシャンの自伝・伝記、そしてジャズを感じさせる小説も含まれています。

中には「ジャズポルノ」というものまで。

それがどのようなものか、短い紹介文ではよく分かりませんが。

 

私もジャズ好きでジャズ関係の書籍も昔から何冊も読んでいますが、私の手持ちの本でこの本に紹介された92冊の中に含まれていたのがただ1冊、植草甚一さんの「マイルスとコルトレーンの日々」というものだけでした。

1977年の発行の本ですが、その頃に買ったものでしょう。

この本での行方さんの紹介文表題は「新年だからマイルスとコルトレーンでも勉強しよう」というものですが、その中味がどのようなものだったか、よく覚えていません。

 

実は手持ちの本ではなく、図書館で借りて読んだ本は他に、中村とうよう著の「ポピュラー音楽の世紀」、青木啓著「ジャズ・スタンダード100」がありますが、そちらは読んだのが最近ということもあり、まだ記憶に新しいものですが。

 

ジャズも本格派のものばかりでなく、ボサノバやビートルズまで含めており、このあたりは著者の考えが色濃く出ているものでしょう。

ボサノヴァの歴史」という本には、もうすでに伝説になりかけているその創成期の頃の挿話なども書かれています。

アントニオ・カルロス・ジョビンジョアン・ジルベルトがその音楽を始めようと動きだした頃、イパネマの娘を録音する時に当時ジョアンの妻だったアストラッド本人がどうしても英語で歌いたいと主張して歌ったというのが伝説のようになっていますが、実際には英語の歌詞もあるわけだし、ジョビンが聞いていなかったはずもなく、やはり皆の了解があったのでは。

ただし、ジョアンのポルトガル語の歌は全部カットされたのがヒットした要因だというのは間違いないようです。

 

ナラ・レオンについての本も取り上げられており、ボサノヴァよりブラジル固有のサンバに傾斜したナラの伝記が語られているそうですが、その歌声の魅力もいまだに薄れることはないので興味深いものですが、どこかでその本を探してみましょうか。