爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

エネルギーバブルの行く末はどうなるのか。その1

再生可能エネルギーと称する太陽光発電風力発電にどんどんと変わっていくのかと思っていたら、ロシア産の石油や天然ガスが入らなくなるというだけで価格が高騰、世界各国があたふたしているということは、やはり実際には全く変換は進んでいなかったということでしょう。

 

さて、「バブル」と言えば経済のことだと思う人が多いのでしょうが、エネルギーについてもバブル状態というのはあり得ると思います。

まああまりそういったことを語る人はいないようですので、一般的ではないかもしれませんが。

しかし、現代文明というのはまさに「エネルギーバブル」状態であると言うことができると思います。

バブルというのは必ず何時かははじけて崩壊する運命です。

そうなるのか、そしてそうなったらどうなるのか。

それを大胆に予測していきたいと思います。

 

1.エネルギーバブルとは何か。

2.現代はそのエネルギーバブルの状態なのか。

3.エネルギーバブルがはじけたらどうなるのか。

4.その崩壊を避ける道はあるのか。

 

1.エネルギーバブルとは何か。

まず、「バブル」と言ってはじめに頭に浮かぶのは経済的なバブルでしょう。

日本で言えば1980年代に不動産を中心にバブル景気と呼ばれる狂乱状態となりましたが、その後、はじけてしまいずっとその後遺症で苦しみました。

有名なものでは、17世紀のオランダで起きたチューリップ・バブルというものがあります。

バブルが起きるためにはやはり重要な財のダブつき、この場合は資金が流入してきたことが必要でしょう。

そしてそれが「集まってはいけないところに過度に集まってしまう」ことで起きるのがバブルだと言えるかもしれません。

 

それでは「エネルギーバブル」とは何でしょう。

それにはまず「エネルギー」というところから説明が必要ですが、エネルギーとは何かというところから話を始めるとあまりにも迂遠になってしまいそうですので、あくまでも現在「エネルギー源」として捉えられているものについて説明していきます。

 

一般的にそう考えられているのは、石油や石炭、天然ガスといった「化石燃料」、そして太陽光、風力、などの太陽由来エネルギー、地熱、ウランなどの核反応物質といったところでしょう。

水素やアンモニアなどもエネルギー源と言われていますが、これは単にエネルギーキャリアとして使われるものであり、ここでは取り上げません。

 

こういったエネルギーの利用に関し、「バブル」になっているなどということは全く考えられないという人がほとんどでしょう。

しかしそれこそが「バブル」である証拠かもしれません。

バブルの状態である時にはその渦中の人は誰もそれがバブルであるという認識がありません。

日本のバブルの時もほとんどの人は日本の経済力が強くなったためであるとして疑問を持ちませんでした。

バブルがはじけた初めて気が付いたのです。

 

実は「化石燃料エネルギーなどの利用で成り立っている科学技術による現代文明はエネルギーバブルと言える」というのが私の解釈です。

ただし、これは経済的なバブルとはかなり違う様相であるとも言えます。

経済バブルは間違いであることがすぐに分かります。

しかしこのエネルギーバブルはそれに依存する文明自体の存続をもたらしており、もしもその状態を是正しようとすれば文明の大きな変化を起こさねばなりません。

それだけバブルの罪も大きいと言えるのですが、簡単には治らないということにもなります。

 

2.現代はそのエネルギーバブルの状態なのか。

石炭や石油、天然ガスという化石燃料産業革命に向かうイギリスで石炭を燃料源として使うことで始まり、徐々に拡大していきました。

現代ではほぼ世界中でそれに依存した産業が栄え、その製品が溢れています。

上記の1でエネルギーには色々なものがあると説明しましたが、実は現代の産業の産物のほとんどが化石燃料エネルギーにより生まれています。

ほんのわずかな部分が原子力太陽光発電風力発電で生まれていますが、これも実はその発電装置を生み出すための製造は化石燃料に依存しているという意味で化石燃料エネルギー由来と考えるべきでしょう。(注1)

 

ただし、化石燃料というものが人間の営みなどと比べて桁違いに多い量が存在していたらそこまで気にする必要は無かったかもしれません。

ところが、化石燃料の存在量はそれほど多いものではありません。

いや、そうではなく人類の使い方が途方もなく多かったというべきかもしれません。

本格的に使いだしてからはまだ100年程度と見積もられるのですが、それで石油の良質な部分は半分も使ってしまったと言われています。

他のものもやはりかなりの部分を使い果たしてしまいました。

つまり、人類の文明の歴史の約1万年といった時間の長さに比べ、化石燃料の使用期間は非常に短く数百年ほどしか持たないということです。

そこが「使うべきでは無かったエネルギーに手を付けた」と考える点であり、それを私は「エネルギーバブル」と表現したわけです。

 

(注1)繰り返し述べていますが、もしも自然エネルギーだけで自立可能であるというならその実証を行ってもらいたいものです。

つまり、「太陽光発電風力発電だけで回っていく社会が可能かどうか」

限られた範囲をそれらの発電装置だけで運営していくというものです。

おそらく、発電装置の製造工場だけもそれらの電力だけで運営することは難しいでしょう。

ましてやその余剰電力で社会すべてのエネルギーを賄うということはほぼ不可能です。

「まだ不可能だがいずれ技術革新で可能になる」と思っているとしたら、それは難しいでしょう。

風力発電はすでに限界に近いまでに発展した技術です。

太陽光発電もその変換効率は相当高度に上がっており、これ以上の効率向上はそれほどは期待できないでしょう。

つまり、「今できないことは今後もできる可能性は低い」ということです。

(3,4に続く)