言いたい放題の続きです。
3.エネルギーバブルがはじけたらどうなるのか。
経済のバブルは対象物(不動産やチューリップ?)の価格がつり上がっていくものの、いつまでも続くはずもなく、結局は誰も買う人が居なくなり暴落しておしまいです。
エネルギーバブルはそれとは意味が異なり、「バブル状態であるエネルギー使用ができなくなる」ことが「バブルがはじける」ことになります。
なお、ここではエネルギーというものを化石燃料に限定しています。
それが現状のエネルギー依存文明の正体であり、他に色々あるように見える代替エネルギーというものが実態のない幻に過ぎないからでもあります。
今まさに、「脱炭素化」と称する動きが世界中で起きているかのようです。(実はそんなことは気にもしていない国が多いようですが)
化石燃料を使わないということがその目的であるはずですが、「二酸化炭素を減らせば良い」ということにもなるようで、かなりおかしな方向に進んでいますが。
これはもちろん「地球温暖化による気候変動が起きる」という一つの仮説を基にした話であり、その仮説も怪しいものですがそれ以上にその対策というものが怪しくなっています。
特に怪しいのが「使用時には二酸化炭素を出さなければ良い」というもので、水素燃料車やアンモニア燃焼などと言うものですが、まあそれはこれまでにも批判してきたのでここでは触れません。
しかし、「化石燃料不使用」ということだけは間違いないところです。
なぜなら「化石燃料はやがて無くなるから」ということです。
石油についてのこの仮説が「オイルピーク説」であり、すでに良質な石油の半分以上は使ってしまったというものです。
これに対する反論や批判も多いのですが、いずれにせよ「やがて無くなる」ということ自体はほとんどの人が認めるところでしょう。
ただしそれがオイルピーク説論者のようにあと数十年でやってくるのか、あるいは数百年後か、または数千年後か。
学説によって差はありますが「やがて無くなる」のは間違いないところでしょう。
それが自分が生きている間か、自分の子や孫が生きている間か、あるいは数世代後の子孫の時代か、その差はありますが、やはり「無くなる」ことはどうやら確かでしょう。
そしてその時がまさに「エネルギーバブル」が消え去る時なのです。
代替エネルギーを必死に研究しているから何とかなると考える人がほとんどでしょうが、その見通しにはどうしようもない甘さが含まれています。
太陽光発電や風力発電といった自然エネルギー、すなわち太陽エネルギーを変換するというものは、その設備の製造や維持管理、廃棄に必要なエネルギーが莫大であり、しかも現在のところそれをすべて化石エネルギーで賄っているという事実を皆忘れたふりをしています。
これはいつまで研究を続けていても結局は解消されないでしょう。
核エネルギーは非常に高濃度過ぎるエネルギーですが、そのためにどうやら人間のコントロールは及ばないもののようです。
やはり当分は続けていくのでしょうが、またさらに大規模な事故が起きることも必然であり、その時に福島のようにギリギリで止めるという幸運が続くかどうかも分かりません。
地熱発電や潮汐発電といったものも存在が偏在していたり、設備が大規模すぎる割にエネルギーの密度が低すぎて使い物にはならないでしょう。
結局はいずれも「現在の世界のエネルギー使用総量」を満たすことはできず、徐々に破綻していくと思います。
そのような状況で本当の危機、すなわち「化石燃料の供給が止まる」ことになったらどうなるでしょうか。
現在のようにロシア産の原油や天然ガスを使わないという動きを見せただけで原油価格が高騰している状況とは比べ物にならないほどの大きな影響が出るでしょう。
「供給が止まる」とまでは行かずとも「徐々に減る」だけでも世界は大混乱に陥ります。
それほどまでに化石燃料に依存しているのが現代の科学文明なのです。
具体的に言えば、現在のガソリン価格が各種税込み、価格高騰対応の補助金を計算したうえでおよそリッターあたり170円ほどになっています。
今のような補助金で価格を抑えるなどと言うことがいつまでもできるわけもありません。
おそらくはどこかで止まることとなり、それでも価格上昇が続けばそれがすべて製品価格に跳ね返って行きます。
しかもそれはガソリンだけでなく他のすべてのエネルギー価格も同様になります。
それが現在から続いて起きるわけではありませんが、ウクライナ戦争が終結しエネルギー供給が戻ってもいずれはエネルギー全体の供給が減少する時が来るはずです。
その時にはもはや状況が変わり価格が下がることはありません。
どんどん上がり続けるばかりになります。
そうなればエネルギーを用いている製品すべて、すなわち今流通している製品すべてが値上がりをすることになります。
なぜならそれが「エネルギー依存文明」であるからです。
工業製品だけではありません。
農作物も水産物も、木製品も何もかもが例外ではありません。
その混乱がどう帰結するのか、想像もできません。
(さらに続く)