モーターファンというサイトから、自動車ジャーナリストの牧野茂雄さんの記事を見つけました。
「カーボンニュートラルと自動車、原発は要る?要らない?」というもので、その前提などにはまったく同意はできませんが、ヨーロッパの電力事情など非常に詳しく掲載されているので、参考になります。
EUの電力別比率というものも出ていました。
2020年で再エネ発電比率が火力を越えたとか。
その中では風力が最も多く、次いで水力、太陽光はかなり低いようです。
なお、EUの統計では石炭(Coal)と褐炭(Lignite)は別に集計されており、より環境汚染の負荷の高い褐炭はまだかなりの使用量があるようです。
ヨーロッパにおいて、陸上風力発電はすでに満杯に近いようです。
やはりあちらでも低周波振動による健康被害や鳥類の激突死が頻発しており、訴訟に発展して敗訴という例が多数出ているために、陸上設置はもはや不可能とか。
そのため、洋上の風力発電しか今後は増設できないようです。
ただし、日本と違い台風の影響は無いため危険性は少ないそうです。
EVなどの電力使用量の推算を掲載しているのも興味深いところです。
EU域内の乗用車および小型のバンなどを合わせた台数は3億台ということですが、2030年時点でのECV(外部充電の車)の台数の予測は5000万台。
これへの充電量が毎日1台当たり20kwh程度は必要と言うことで、EU域内の総量で1Twhとなります。
これが1年で365Twhとなるわけですが、EUの2019年の発電実績が年間で3222Twh、つまり電気自動車充電用にその1割以上が余計に必要になるということです。
電気自動車充電用の電気はグリーンで化石燃料由来は使わないなどと言うことを言っていますので、これを用意することは風力や太陽光では間に合わず、しかも太陽光発電モジュールもグリーンなどと言いだすとさらに大変なことになります。
結局、原発を稼働させるしかこの巨大な電力をまかなうことはできないだろうということです。
具体的な数値も示され、分かりやすい話になっていました。
しかし、これを理由に原発稼働(あるいは増設)というのも危うい話のように感じます。
もうそんな無理をせずに、自動車社会をあきらめれば良いのにと思ってしまいますが。