小島正美さんが食品問題を中心に解説している「FOOD ON LINE」で、週刊現代が「日本のお茶は農薬まみれ」と題した記事を掲載した件について書かれています。
時々、こういった週刊誌にこのような記事が載ることがあるようですが、他に書くことが無い時に手ごろな話題なのでしょうか。
もちろん、某国からの輸入食品のように、「基準値越え」の商品が検出されたなどと言うこともほとんどありませんので、週刊誌の論点も「基準値が緩すぎる」ということになります。
週刊現代の記事では、茶葉に使われているジノテフランという殺虫剤の残留基準が25ppm、それに対して、EUでの茶葉での基準は0.01ppmということが紹介され、日本の基準は緩すぎるという言い方がされているようです。
しかし、これは小島さんも解説されているように、「EUでは茶葉へのジノテフランの使用はない(登録されていない)」というところから来ているものです。
登録されていなくても残留基準があるのは、載せていないと規制ができないため最も厳しい最下限の基準値である0.01ppmにしてあるだけの話です。
これは日本でも同様の規定が設けてあります。
その次に解説されているように、残留基準だけを取り上げても話になりません。
ADI(一日許容摂取量)というものが、残留農薬などを体内に取り入れた場合の安全性を示す基準ですので、これと比較しなければ意味がありません。
ジノテフランの場合も次のように定められています。
内閣府・食品安全委員会はジノテフランのADIを体重1キロあたり1日0.22ミリグラムと設定しています。体重50キロの成人なら、1日11ミリグラム(0.22×50キロ)です。つまり、1日あたり11ミリグラムのジノテフランを毎日、生涯にわたって摂取し続けても、健康への影響はないというのがジノテフランのADIになります。
ここで注意してもらいたいのが、「毎日生涯にわたって摂取し続けても健康への影響はない」というところです。
週刊誌などで農薬の有害性についての記事があっても、ADIに言及しているかどうかを見て記事の質を判断してと言うのが小島さんのアドバイスでした。
しかしこのように指摘があっても気にも留めずにまた記事ネタの無い時にセンセーショナルな題をつけて掲載するのが週刊誌というもののようです。