内田樹さんの「研究室」で、興味深い表現の話が掲載されていました。
「後手に回る」ということですが、これを菅総理の政治姿勢を表すのによく使われています。
感染症対策でもGOTOキャンペーンでも、山田広報官辞職についても、すべて政府決定に批判を浴びて前言撤回となっていることを指しています。
しかし、ここからが内田さんの鋭いところですが、
「私たちは子供の頃から”後手に回る”訓練ばかり受けている」ということです。
日本の学校教育で、「与えられた課題を適切にこなす」ということは、すなわち「後手に回る」訓練だということです。
確かに、「先手を取って自分で問題を作る」なんていうことは日本の教育では避けられています。
これは実は、「課題を出すのがボス」であるという、序列を骨身にしみこませるというための訓練だということです。
そのため、「ボスでありたい」政治家たちは、記者から嫌な質問をされると逆に変な質問で返し、「自分がボス」であることを誇示するのだとか。
ただし、菅総理は官房長官時代に「質問をはぐらかす」技術もなく、「質問に答えない」態度を貫くことで「鉄壁」と呼ばれていました。
しかし、総理にはその手は使えません。
そこで、最後の文章が菅総理に送られています。
総理大臣は受験生でもサラリーマンでもない。彼に求められているのは記者や野党議員に「言い負かされない」ことではない。国の進む先を指示し、ヴィジョンを語り、国民を鼓舞することである。自分の仕事がそういうものだということがわかっていないから「後手」を咎められるのである。
まったく、情けない総理を持ったものです。