誰もが持っているスマホ(私はガラケーですが)で、少し前までは一流のカメラでなければ撮影できないような写真や動画が撮れるようになり、さらにそれをワンタッチでSNSなどに投稿(ということは広く公開)できるようになりました。
これは、少し間違えば著作権法や商標法その他多くの法律に抵触しかねないものです。
ところが、それをほとんどの人が認識せず、したとしても「これちょっとマズいんじゃ」程度の感覚でしかないでしょう。
それを、本書ではよくありそうなシチュエーションで分かり易く解説しています。
著者の飯野さんはライターですが、弁護士・弁理士の紺野さんが監修していますので、内容に間違いはないでしょう。
〇友達と自撮り写真を撮り合った。その後、自分だけその写真をSNSにアップした。
◉写真を撮る行為自体はお互い認めていたが、SNSにアップする場合は別にはっきりと承諾を取らなければ肖像権侵害になる。
なお、もしも友達が撮った写真を貰った場合には、無断アップは著作権侵害にもなる。
〇通りがかりの人が連れていたイヌの写真を撮った。
◉ペットには肖像権はないので、撮ること自体は問題なし。ただし飼い主が特定できるような写真の場合はプライバシー侵害になることもある。
いずれにせよ、撮影の許可は受けておいた方が良い。
〇映画館で映画の隠し撮りをした。
◉盗撮した作品を自分で楽しむだけだとしても、著作権法の例外規定の私的使用は適用されず処罰される可能性がある。
映画に関する規定は厳しくなっており、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金という罰則が適用される可能性がある。
〇ネット上の芸能人の写真などを、自分で見るためだけにコピーした。ただし、コピーガードしてあったのでガード解除ソフトを使った。
◉コピーガードを解除する行為を行えば、私用目的であっても著作権法上の例外規定は適用されず、違法となる。
なお、違法にコピーした海賊版の場合、それをダウンロードしただけでも違法となる。
〇ハロウィンに、アニメキャラに似せたコスプレを自分で作って街にでかけ、写真も自撮りした。それをSNSにアップした。
◉個人的に楽しむだけなら私的使用として認められる範囲内。しかし、その写真をSNSに公開すると違法とされる可能性がある。
さらに、作った衣装を売ったり注文を受けたりする行為は完全に違法。
〇路上ライブをやっているが、自作のオリジナル曲だけだと聞いてくれる人がいないので、他の人の売れている歌を半分ぐらい歌った。無料の路上ライブでも歌の使用料を払う必要があるのか。
◉無料であっても不特定多数を相手に歌う場合には曲の使用料を求められることがある。
ただし、完全にアマチュアでスタッフなども無し、観客も無料であれば非営利の演奏と認められる場合もある。
しかし、デビュー間近であったり、グッズ販売をしたりという行為があれば免除対象とは認められない場合もある。
いやあ、「本当はいけないことだったんだ」ということがいくつも思い当たりました。
気を付けねば。