爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「基準値の何倍」報道、少しは勉強してから書いてねというお願い。

FOOCOM.NETで斎藤勲さんが報道について苦言です。

foocom.net斎藤さんは農薬分析などに長年携わってこられただけに、こういった問題には詳しい方です。

 

残留農薬などが検出されたという報道がよくありますが、そこで必ず出てくるのが「基準値の何倍」といった数値です。

基準値の10倍などと言うとひどい汚染ではないかというのが普通の感覚でしょうが、そこには日本の規制値の特徴があります。

 

記事中にも詳しく触れられていますが、使用されることが認められている農薬、農作物の場合には設定された方法により詳しく測定され定められた「残留基準値」というものが食品衛生法により定められています。

しかしそれ以外の場合には「一律基準」として0.01ppmという濃度が定められています。

これは存在してはいけないところに存在していたというもので、非常に厳しい値となっています。

そして報道されるような場合はたいていこの「一律基準値」オーバーというものが多いようです。

 

これは2006年に定められたポジティブ・リスト制度というものによるためで、それまでは登録外の農薬等が検出されても取り締まれなかったものが、そのすべてを取り締まるために一律基準値を定めたためです。

 

そのため、一律基準値オーバーのものは違反となりますが、「健康に直ちに影響するものではない」という当局発表には間違いありません。

 

報道でも「登録外の農薬が検出された」で済ませれば誤解なく伝わると思うのですが、どうしても「大変だ大変だ」と言いたいのが記者さんたちの習性なのか、「基準値を大幅超過」と言いたくなるようです。