爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

石炭火力廃止を急ぐ本当のところ。

脱炭素化を目指すという動きの中では特に石炭火力発電が目の敵にされ、それを急がない日本が非難されるといった事態になっています。

その世界情勢とはどのようなものなのか。

山本隆三さんという方がWedgeで書いていました。

news.yahoo.co.jp石炭火力廃止に特に積極的なのはヨーロッパ諸国のようです。

しかしヨーロッパ各国も少し前までは石炭火力発電に頼っていました。

それは、石炭というものがヨーロッパでも採掘され、それに近いところに石炭火力発電所を作るということで輸送費もかからずにコストの安い電力を得ることができたからということです。

ところが、ヨーロッパの石炭採掘量がこのところ急激に減ってしまったようです。

そのため、いやでも石炭火力発電には頼ることができなくなりました。

それが理由とは言わないまま、他国まで巻き込んでの石炭火力発電廃止の動きを強めているわけです。

それに合わせるように、ヨーロッパの石炭火力発電所は老朽化し寿命を迎えています。

そんなものはもはや取り壊すばかりとなっているので、それから他の電力源に乗り移るのは渡りに船のようなものです。

 

アメリカも電力供給の大半を石炭火力に頼ってきました。

しかしこちらもエネルギー源交代の波をうまくとらえています。

シェール革命とやらの天然ガス採取法の改善でそちらの方がかえってコスト安となりました。

こちらも脱炭素などと言いながら化石燃料を止めるどころか、天然ガスの方が安いというだけの話です。

 

それに引き換え、アジア諸国は石炭をそう簡単に止めるわけにはいきません。

電力供給では中国は6割、インドは7割を石炭火力発電に頼っています。

しかも両国を含めアジア各国の石炭火力発電所の設備はまだ老朽化にはほど遠く、今すぐ運転を停止して他の電力に交替というわけにはいきません。

日本もまだまだ新鋭の石炭火力発電所もあり、これをすぐに廃止するのは問題です。

 

このように石炭火力発電を止めさせようという圧力はありますが、アメリカエネルギー省の予測でも2050年までは石炭火力は減らないということです。

日本ばかりを化石賞などと言って攻撃していますが、実際の世界情勢というのはこういったものなのでしょう。