爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「内田樹の研究室」より「ロシアと日本 衰運のパターン」

内田さんが大阪のある市民集会で講演を依頼され、ロシアと日本には共通パターンがあるということを話したそうです。

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ロシアはすでに経済的にはまったく大国とは言えません。

GDPは世界11位で韓国より下、一人当たりGDPとなると世界66位でハンガリールーマニアといったかつての衛星国よりも下となっています。

ノーベル賞受賞者もほとんど出ず、文化的な生産力は失われています。

 

数字的にはまだ日本はマシに見えますが、社会的閉塞感はどちらも共通しています。

政治経済分野での両国の状況もそっくりですが、それを描写する内田さんの文章は傑作です。

システムの刷新が行われず、権力が一握りのグループに排他的に蓄積し、イエスマンしか出世できず、上司に諫言する人は左遷され、「オリガルヒ」や「レント・シーカー」が公共財を私財に付け替えて巨富を積む一方、庶民は劣悪な雇用環境の下で苦しんでいる・・・列挙すれば共通点はいくらでもある。」

もちろん、「オリガルヒ」も「レント・シーカー」も日本で存在するのも明らかです。

 

安倍元首相がプーチンと親交を結んだのもつい先日のような記憶ですが、そこで「ウラジミール、君と僕は同じ未来を見ている」と語りかけたそうです。

これも二人の状況はそっくり、「未来が無い」ということです。

 

それは指導者が「未来のあるべき姿を提示できない」ということです。

日本もロシアも立場こそ違え第二次世界大戦で非常に深く傷つきました。

しかし両者とも「二度とこんな苦しみは味わいたくない」という思いにとどまり、「世界の誰もがあのような苦しみを味わうことがありませんように」という祈りにつなげられる人は少数にとどまるということです。

そしてそれが両国ともに「未来が無い」ということです。

 

ロシアはもはや二等国から三等国へと落下しているにも関わらず、核兵器を握っているために大国のような勘違いをしているのでしょう。

金正恩と同じようなものかもしれません。

そしてそれらと同じようなのが日本の指導者だということでしょう。