爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

”ニュースソクラ”で内田樹さんに週刊ポスト問題に関連してインタビュー

先日の週刊ポスト反韓記事で内田さんが小学館からの仕事は断ると宣言したことが話題となったようで、ニュースソクラというサイトで内田さんのインタビュー記事が載せられました。

headlines.yahoo.co.jp

インタビュアーは教育労働問題が専門というジャーナリストの角田裕育さんでした。

 

話題の最初はやはり週刊ポスト問題でしたが、小学館のような大手出版社が対話の可能性を排除し、国民の分断を進めるようなことをするのは許せないということです。

 

日本だけでなく世界各国で排外主義的な言論が横行するのは、中国の成功(いまのところ)が大きいと感じています。

中国のような共産党独裁で強権的な国が成功するのなら、それを模倣する動きも出てきます。

 

もう一つの要因は、「株式会社」という組織形態が世界中を覆い、これを唯一無二のように思い込む人が出てきたこと。

株式会社とは、トップが全権を握り動かす組織で、民主主義とはまったく無縁のものです。

これも中国という国家と同様の組織です。

 

これと対極にあったのが昔の農村共同体だったというのは面白い指摘です。

そこでは村という共同体の意志は皆で議論して決めた。

中には議論の長さにあきらめて賛同した人々も多かったのでしょうが、それでも一応は皆の意志として決められたことを守った。

そういった農村が昔はどこにでもあったのですが、それが崩壊していった。

そして、誰もが株式会社の社員となってしまい、上の言うことには従うだけの存在ということが普通だと思い込むようになった。

 

今後の日本の目指す道についても、今の政権が示しているかのように見せている、かつての大日本帝国のような国というのも不可能であるとしています。

かっての大日本帝国は、一応は主権国家であり、植民地を持つ国家であり、強力な常備軍を持つ国家でした。

それだからこそ、誇大妄想ではあったもののイデオロギーを持つ独裁国家として存立できたのですが、今の日本にはその条件のいずれもありません。

このような日本がモデルとできるのは、金だけが価値のシンガポールくらいのものでしょう。

 それに比べると、シンガポールは真似しやすい。一党独裁で、治安維持法があって、政治警察は令状なしで気に入らない人物を逮捕拘禁でき、反政府的なメディアは存在しないし、学生は「反政府的な思想を持っていない」ことを証明する書類を政府に発行してもらわないと大学に入れない。

まあシンガポールの実像も相当なもののようですが。

 

それよりも内田さんが注目するのは韓国です。

日本中のメディアが韓国の政権は断末魔だとか言っていますが、民主国家として成功を収めつつあるのは間違いありません。

韓国は長く軍事独裁で苦しんできましたけれど、1987年の民主化以来、市民たちが自力で民主制を整備し、あわせて経済成長を遂げ、文化的な発信力を急激に上げて来た。一人当たりGDPで韓国は日本がいま世界26位、韓国は31位ですが、日本は2000年の世界2位からの不可逆的な転落過程であり、韓国は急成長中ですから、抜かれるのはもう時間の問題です。

安倍は世界的にはまったく無力なのですが、それでも形だけは習近平プーチンを真似た強力な独裁者として見せたいようです。

 

その安倍を強烈に批判する内田さんですが、インタビュアーの角田さんは彼を「リベラル」かと考えたそうです。

 

しかし、内田さんいわく「武道やって、能楽やって、滝行して、禊ぎ祓いやって、毎朝祝詞を唱えている天皇主義者がどうして「左翼」なんですか」

ということで、「天皇主義者」を自称しています。

さらに、れいわ新選組山本太郎氏は「保守本流

そして、次の選挙では「挙国一致」を目指すべしとしています。

 

さらに、戦後のいわゆる「右翼」はほとんどが偽物であり「宗主国に親和する植民地現地民がどうして「右翼」なんですか? 宗主国にすり寄る人間がどうやって民族解放闘争をするんです?」

 と一蹴しています。

インタビュアーの角田さんにとっては、こういった内田さんの発言は新鮮なものだったようです。

しかし、内田さんの「研究室」を愛読している私にとっては常識のようなものでした。