パラドクスといえば詳しい説明を聞いても何かごまかされたような、良く分らんという感覚になりそうです。
そこで、この本では図説をふんだんに用いて「日本一」わかりやすく説明してやろうという、意欲的な方針で書かれています。
パラドクスといっても色々な種類があり、この本ではそれぞれ類型化しています。
「鏡」「確率」「確証」「予測」「合理性」「無限」「意味論」といったものですが、パラドクスファンの方ならこれを見ただけでだいたい分かるでしょうか。(そんな人がいればの話ですが)
「鏡が左右だけを反転させるのはなぜか」というのはまあまあ有名なものでしょうか。
これがパラドクスかどうかというのはともかく、正解は「鏡が反転させるのは前後である」ということで、それをなぜ「左右」だけに感じるのか、「上下」と感じないかのところがそう見えるのでしょうか。
まあ、「鏡を床に敷いてそこに立ってみる」ことができれば、上下が逆になったように見えるということです。
「すべてのカラスは黒い」という命題を証明するためにはその対偶を証明すればよいということは知られています。
順命題「すべてのカラスは黒い」
逆命題「黒いものはカラスである」
裏命題「カラスでないものは黒くない」
対偶「黒くないものはカラスではない」
このうち、逆と裏は証明したとしても順を証明することにはなりません。
対偶のみがその条件を満たすのですが、それにしても手当たり次第に何でも見て、「これは黒くないしカラスでもない」ということをいくら証明していっても終わりそうもありません。
どっちにしろ、大変だという話なのでしょうか。
というわけで、労作の割にはそれほど簡単にパラドクスを理解できるようにはならないというものでした。