FOOCOM.NET専門家コラムに斎藤勲さんが書かれている記事は面白いものでした。
農薬残留温故知新―農薬洗浄には合成洗剤を!― | FOOCOM.NET
斎藤さんは40年以上にわたって食品分析をされてきたというベテランですが、調べたいことがあって「食品衛生研究」(食品衛生協会)の昭和30年頃のバックナンバーを見たそうです。
色々な記事があり現在との大きな違いと、今に通じる共通点が多いことに気付かれました。
当時は現在とは異なり非常に毒性の強い農薬が多量に使われていました。
また、その毒性について農家が無知なまま使っていたことで、使用者自身が中毒を起こすという事故も多数発生していたようで、昭和29年には自殺以外でのパラチオンの中毒死者70名、中毒者2000名以上という大きな被害を出していたようです。
当局の対策も遅れていたようで、ようやく仮の残留基準値が出された程度、それもかなり高い濃度のようです。
とりあえずの啓蒙として、「果物は皮を食べるな」とか、「野菜は合成洗剤で洗って少しでも農薬を落とせ」といった文章が厚生省や大学教授から出ています。
それから60年、数々の努力が積み重ねられ農薬の低毒化、分解性向上により残留農薬の危険性は遥かに低くなりました。
一方、その時代の農薬危険性の意識のままの人もかなり居るのも事実であり、それをネタに本を書いて儲ける人も数知れずというのも現在の状況です。
現状をきちんと説明することの大切さを感じます。