福岡県久留米市から出荷された春菊が福岡市に流通し、それから農薬イソキサチオンが高濃度で検出されたという事例が発表されました。
イソキサチオンは春菊への適用はなく、どうやら農家が隣の畑のタマネギに撒いたものを春菊にも誤使用したようです。
しかし、「体重60kgの人が20gの春菊を食べると症状が出る」などと報道されていたため、これはおかしいだろうと思いました。
すると、FOOCOM.NETで、残留農薬分析などを長年にわたってやってこられた斎藤勲さんが早速その発表のおかしさを解説してくれていました。
www.foocom.net久々の農薬事故事例ということで、斎藤さんも「緊張した」と書かれていますが、どうやらその中身は何か勘違いがあるようです。
福岡市の情報で今回、一番重要なところが「健康影響について」の以下の記述だ。
イソキサチオンについて
種類:有機リン系殺虫剤
ARfd(急性参照用量※):0.003mg/kg 体重
〇体重 60kg の人が今回のしゅんぎくを 20g食べると、健康に影響を及ぼすおそれがあります
とある。この記述について説明すると、「ARfD(Acute Reference Dose:急性参照容量)」とは、簡単に言えば「一度に大量に食べてもこの量であれば大丈夫でしょう」という値である。これが、0.003㎎/㎏体重で体重60㎏なら0.018mg、つまり180㎍までは摂取可能となり、春菊の9ppm(µg/g)で割るとちょうど20gまでは食べても大丈夫でしょうとなる。
ARfd(急性参照用量)の解釈に誤りがあり、「この量までは食べても大丈夫でしょう」という内容であるのに、「その量を食べると健康に影響を及ぼす恐れがある」と考えたようです。
報道でそのような記事があったので、これはまた農薬中毒のことを何も知らない記者が書いた間違い記事だろうと思いましたが、どうやらその前に間違いがあったようです。