辞書というものは日本に文字が伝わってきた当初から作られてきました。
そのような辞書について、その図版も示しながら説明していきます。
古い時代のものは数も少ないのですが、近世以降は非常に多くのものが知られています。
そのため、近世は節用集、唐話辞書、蘭和和蘭辞書とまとめ、近代は英華華英辞書、英和和英辞書、漢語・漢和辞書、国語辞書、特殊辞書とまとめています。
古代の辞書の中には名前だけは知っているものもありました。
和名類聚抄、勤子内親王(醍醐天皇皇女)の命により源順が編んだもので、931年頃の承平年間に成立したということです。
漢語を掲出語としそれに和名を付すという体裁になっています。
幕末に大阪の適塾などでも使われ、福沢諭吉の福翁自伝にも表れてくるために名前だけは有名な「ドゥーフ・ハルマ」ですが、その意味は初めて分かりました。
もともと、フランス人のフランソワ・ハルマが作った蘭仏辞典というものがあったのですが、それを稲村三伯が翻訳し蘭和辞典としてものが江戸ハルマとも呼ばれる波留麻和解という辞書でした。
そのためハルマという言葉自体が和蘭辞典を指すようになったようです。
その後19世紀になり長崎のオランダ商館長H・ドゥーフがやはりハルマの蘭仏辞典を基にして蘭和辞書を作成しました。
それを長崎ハルマ、またはドゥーフ・ハルマと呼んだということです。
国語辞書の最後は広辞苑や新明解国語辞典といったなじみのあるものも出てきました。