爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

旧優生保護法違憲訴訟、最高裁で原告全面勝訴の判決。まあ当然といえば当然なんだが。

優生保護法下で不妊手術を強制されたということで賠償などを求めた裁判で最高裁大法廷は原告全面勝訴の判決を下し、旧優生保護法憲法違反であり、それで行った不妊手術も違法で賠償を認めました。

さらに不法行為を知った日から20年以内に訴訟を起こさなければ権利を喪失するという除斥期間の適用は平成元年の最高裁判例を覆し、「著しく正義・公平の理念に反し、到底容認することができない場合には適用しない」という判断を示しました。

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判決理由を見てみると、なぜこんなことをこれまで争っていたのかと思わせるほどのすっきりとした理由付けだと言えるでしょう。

特に除斥期間の適用に関する上述の文章は明確です。

 

このところの裁判では旧優生保護法違憲だということはほぼ固まりつつあったものの、20年以上経過で除斥期間が過ぎているという言い訳が通っていました。

このような、憲法を踏みにじったような法律を作ること自体あってはならないと言えるほどのひどい状況ですが、それの被害を除斥する期間というものも言ってみれば国の都合で適当に決めただけのようなものであり、それを押し立てる論法にはあきれ果てていました。

「著しく正義公平の理念に反する場合には適用しない」とはすっぱりと言い切ったものです。

 

このところ最高裁判決もちょっと首をひねるようなものもありましたが、今回は純粋に法律解釈、やはりこれなら素晴らしいものができるのでしょう。

あの人たちに水銀の神経損傷の程度を決めさせたり、権限のはるかに及ばない米軍の行動について掣肘をさせようとしたり、地下の隠れた断層のありかを決めさせたりなどと言う、彼らの能力をはるかに越えた判断を求めても無理というものです。

これからも、できることをその範囲でやってもらいましょう。