爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「内田樹の研究室」より「東洋経済のインタビュー」

内田樹さんが東洋経済のインタビューに答えた内容が掲載されていました。

blog.tatsuru.com世界の多くの場所でガザでの虐殺などに対して若者たちが抗議活動を行っています。

それに対して真のグローバル視点から動こうという政治指導者はいません。

若者たちがいら立つのも当たり前ということです。

 

しかしその抗議活動も日本ではさほど盛り上がりません。

これについては、内田さんは若者まで全体に蔓延した集団主義、大勢に逆らわないという態度が問題としていますが、それはさらに日本の政治を預かる政治権力も同様としています。

ガザで虐殺が行われているのは明らかなのに、それを声に出すことはできない。

アメリカに逆らうことは絶対にできないというだけが日本の政治の根底です。

そのような国としての姿勢をはっきりとさせることができなくなって数十年が経ち、もはや政治権力者のすべてがそれに毒されている。

 

軍事力が持てないのは変わっていないが、昔は経済力で発言する力はあった。

それも完全に消えてしまいました。

経済の伸びしろも無くなれば、今あるものをより多く分捕ろうということしか考えません。

格付けをして傾斜配分という、一見合理的で公平なような手法ですが、実際には格付けという操作自体が恣意的なものであり、国のすべてを一つの尺度に押し込めるという無謀な策です。

そこでは政治経済的に勝利した勝ち組が道徳まで手に入れて多くの富を独占しようとします。

 

これに対する策として、内田さんは「コモンの再生」を提唱します。

公共財というものが多い社会は人々の財産分捕り合戦もさほど悪化しませんが、日本はそれに反する行動を取り続け、勝ち組総取りを当然視してきた。

公共財も民営化の掛け声でそれを私有化させるのが善かのように見せて進めてきた。

今一度、社会の中のコモンの力を増し、公共財を確保して誰もが富めるようにすべきということです。

 

日本の社会の在り方としての議論としては、非常に優れたものでしょう。

ただし、これを若者が読んで、さて自分は何をどうすればよいのかと考えた時、その答を見つける方向が見えるかどうか。