物価高で賃上げも進むかのように言われていますが、大手企業の下請けに対する価格転嫁はあまり進まず中小零細企業ではやっていくだけでも精一杯、従業員の賃上げなど困難な情勢です。
運送業界の例が出ていました。
運送業界では大手と言われる企業はほとんど無く、皆中小、零細でトラック1台だけで走っているというところが多いのですが、そこへの仕事の流れは大手からの何次にも重なる下請け構造となっており、運送料の引き上げも困難な状況です。
会社としての収支も危うい状況では労働者の賃上げなど全く不可能でしょう。
しかし「代わりはいくらでもいる」というのは市場原理そのものであり、それで受けるところがあればそちらに頼むというのも否定はできません。
もしも「もうだめだ」という企業が次々に廃業していき、「代わりがいなくなった」となれば運送料も引き上げが可能かもしれません。
市場原理を否定して国の指示が通るのならもはや社会主義かもしれません。
運送業界がもしも過当競争で企業が多すぎるのであれば、減っていかざるを得ないのかもしれません。
そして撤退したところの労働者は成長産業に転職するというのが国の理想とする経済構造の転換でしょう。
しかしそんなものがスムーズにできたことなどありません。
石炭産業から石油への移行時に多くの炭鉱労働者が解雇され路頭に迷ったものの成長産業に転職できた人などほとんど居なかったはずです。
運送業だけではないでしょう。
他の産業でも「代わりはいくらでもいる」と言われることが多ければもはや衰退産業なのでしょうか。
一生のうちに全く違う産業の職業に就く人というのはどの程度いるのでしょうか。
それも下っ端の仕事ならあるかもしれませんが、トップの人材として渡り歩ける人などはほんの一握りでしょう。
それだけ産業の転換速度が速すぎる時代になったのかもしれません。
その見通しができないのは個人の責任でしょうか。
あまりにも難しすぎる問題です。