爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「NATROMのブログ」で線虫がん検査について解説。

ニセ医学と闘う内科医NATROMさんのブログで、「線虫がん検査」について解説されていました。

natrom.hatenablog.com

「線虫がん検査」についてはこれまでもニュースなどで報道されたこともあり、知ってはいたのですがすでに検査キットとして販売されており、その弊害もあちこちで出てきているようです。

 

線虫とは線形動物とも言われる体長1㎜以下の生物で、その一種のものが癌患者の尿に特異的に反応するということで、その性質を使って癌の発見ができると言われています。

HIROTSUバイオサイエンスという会社が作っているようで、サイトを作って広告をしていました。

lp.n-nose.com

 

なお「線虫がん検査」で検索するとHIROTSUの他にも色々な機関のものが出てきます。

かなり商売にしようという動きも強いものと思います。

 

最初に紹介したNATROMさんの記事では、HIROTSUが出している「感度と特異度」についての疑問が表されています。

この場合の感度とは「検査で陽性になった人数を病気がある人数で割ったもの」で、特異度とは「検査で陰性になった人数を病気がない人数で割ったもの」を表わしています。

HIROTSUによれば、この検査の感度は86.3%、特異度は90.8%とかなり高い値となっています。

 

しかし、NATROMさんの指摘によれば、この「感度」「特異度」は「がん患者集団」と「健常者集団」で産出されたものであり、一般のがん検診などのように「がん検診を受ける集団」という一つの集団を対象として出されたものではないということです。

これは同じようなもののようにも見えますが、実際には大きな差があり、感度特異度ともにこのような測り方をすれば過大に出てしまうものだということです。

(詳しくはNATROMさんの解説を読んで頂いた方が分かりやすいでしょう)

 

がん検診で使われるような検査も「バイオマーカー開発のためのガイドライン」によれば5つのフェーズをクリアしなければならないのですが、この線虫がん検診法は2つ目までしか実施されていないようです。

このような状態のものを、高額な価格を設定して売り出すということ自体、かなり問題と言うことです。

 

このようないい加減な検査がはびこる理由はとにかく儲かるから。

 

問題点を指摘してあるサイトもありますが、この検査で陽性となってもどこのガンかも特定されないために精密検査も数多くやらなければならず、その費用も高額となります。

それで何にも出なければ良かったねでは済まないほどのことになります。

 

私もこの原理が最初にテレビニュースで報道された時は、こういったこともあるのかと感心しましたが、こういう展開となると感心してもいられません。