「団塊世代に贈る」と題された本ですが、私は団塊よりはちょっと下の世代です。
しかし少年時代から撮りだめた写真は溢れかえっており、整理が必要だなとは思っていました。
この本は写真家でもあり、また撮った写真の整理法や活用法などを初心者に講義するという活動も行っている瀬川さんがそれをまとめたものです。
本はまず「思い出の写真を発掘しよう」という章から始まります。
多くの人にとってはやはりまずこれが大変な事なのでしょう。
アルバムなどに貼り付けてあるという写真も少しはあるものの、多くは撮って現像してそのままどこかに入り込んでいるという写真がほとんどかもしれません。
「写真は忘れられたところにある」そうです。
確かにそうでしょう。
その時は関連したところにパッと一緒に入れておいたつもりが、その「関連」自体の意味も忘れてしまうともう単にごちゃごちゃした中に入り込んでしまっています。
資料に紛れ込む、机や本棚の引き出しに紛れ込む、手紙類と一緒に入れてある、さらに「身内が保管していたが亡くなった」などの場合はもう紛失と言うことも多いようです。
そのようにして探し出した写真ですが、それは単に個人の思い出にとどまらず社会的な価値を持つものもあります。
写真には莫大な情報量があり、中心にして撮影した人物はともかく、その隅にちょっと写った背景の建物や風景など、今では失われたものがあるということもよくあり、資料的価値が大きい場合もあるようです。
幕末や明治時代に撮られた「古写真」というものが歴史史料として重要だということは分かるでしょうが、昭和前期、後期の写真などもこれから史料としての価値が高まることもありそうです。
ただし、出てきた写真やネガなどは相当傷んでいる場合もあります。
プリント・ネガは退化するものだということは仕方ない話ですが、現像した時の業者の力量、使用した資材の質、そして保存状態によってその劣化の程度は大きく異なります。
それは素人が触るとさらにひどくなるため、修復は専門業者に頼むしかないようです。
ただし、プリントやフィルムをデジタルデータとして取り込むとそれ以上の劣化は進むことなく、また画像ソフトで劣化部分を修復することもできるかもしれません。
これは専用の機材がありますので、それを利用すれば自分でもできるものです。
そのようにして保存された写真やデータは再編集し活用することも重要です。
アルバムなどをテーマ別に再編集し、まとめ直すということもできます。
時間だけはある退職世代であればこのような活動を行っていくのも一つの生きがいになるかもしれません。
私も小学生頃から撮影した写真があちこちに埋もれていましたので、少し前にフィルムスキャナーを購入してネガからデータにまとめました。
しかしまだ撮ったはずだが見つからないという写真がかなりあるようです。
また、それほど前のものではなくても相当ネガの痛みが激しいものもあり、変色してしまったものもあります。
これも画像ソフトで修復ということができるのかもしれません。
まあ、それほど時間が余っているわけではないのですが、やってみたいものです。