爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

リステリア菌食中毒が怖いからチーズは食べない?それももったいない話。

毎月一回掲載される、「おいしい、健康」サイトの中の「読む、えいよう」の松永和紀さんの記事ですが、今回は「妊娠中チーズは食べて良い?リステリア菌食中毒を防ぐ正しい食べ方」と題したものです。

oishi-kenko.com

以前からヨーロッパなどではリステリア菌による食中毒が多く、日本でもあまり目立たないものの発生しているということで松永さんも注意喚起をしてきたそうです。

 

しかし、最近はSNSなどで「リステリア菌が怖いので妊娠中はチーズは食べない」といった意見が目立つということで、その本当のところを解説ということです。

 

リステリア菌による食中毒はスモークサーモンや肉や魚のパテ、生ハムでも起こりますが、最も多いのはナチュラルチーズです。

症状の個人差も大きいということですが、免疫力の強い健康な人なら発症しないことが多いのですが、幼児や高齢者、そして妊娠中の人では発症することがあり、髄膜炎や敗血症そして流産につながることがあります。

 

また、低温でも増殖することがありまた高塩濃度でも増殖可能ということで、冷蔵庫に入れた食品の中でも増えることがあります。

 

しかし、この菌は熱には弱く加熱すれば死滅します。

そのため、ナチュラルチーズを加熱溶解して作る日本のプロセスチーズでは残りません。

また、ヨーロッパのチーズでも「生乳のまま」作るものでは危険性が残りますが、「加熱殺菌した牛乳」を用いたものはナチュラルチーズでも安全です。

 

このように「チーズは全部だめ」ということは全く無く、プロセスチーズはOK、ナチュラルチーズでも加熱殺菌した牛乳を使ったものは大丈夫のようです。

 

しかし、日本でもそうですがヨーロッパでも加熱殺菌しない「Raw Milk」を使った製品が「自然で美味しい」と考える自然志向の人が多く、チーズに限らず生乳からの製品でリステリア菌中毒が絶えないそうです。

 

なお、生乳関連の製品だけでなくその他のものにもリステリアが紛れ込む危険性はあり、コールスローサラダ、生ハムといったRTE(Ready To Eat)製品、そしてメロンによる集団食中毒も起きているそうです。

加熱すれば大丈夫といってもそうでない食品が多数あるというのは、刺身好きの日本人ばかりではないようです。

 

なお、リステリア菌についても解説を調べてみました。

リステリア・モノサイトゲネス感染症とは

リステリア菌は何種かあるようですが、その内病原性があるのは、

Listeria monocytogenes の一種のみです。

微好気性のグラム陽性桿菌ですが、バチルスやクロストリジウムのように芽胞は作りません。

そのため、加熱には弱いようです。

また生育温度範囲が極めて広いのが特徴で、5℃でも生育可能ということですので、冷蔵庫の中でも十分に繁殖します。

また10%の食塩存在下でも増殖可能ということですので、たいていの食品中では阻止されません。

また抗生物質はよく効くようですが、最も作用が強いのがペニシリン系の薬剤で、ペニシリンアレルギーの患者がそれを使うことができずに悪化して死亡した例があるようです。

 

危険な菌であるのは確かですが、だからと言ってチーズは何でも避けるというのももったいない話だというのが松永さんの趣旨でした。