「リテラシー」とは「読み書きの能力」ということです。
したがって、メディアリテラシーと言うとテレビや新聞、インターネットまで含む「メディア」というものを理解する能力ということになります。
新聞やテレビだけでも読みこなす能力がなければ無批判に信じ込んでしまうこともありますが、さらにインターネットなどその信頼性が疑わしいものまで受け入れてしまうと大変なことになりそうです。
こういった、メディアとの付き合い方というものを解説しようという本ですが、まあそんな難しいことができるかどうかと思うところですが、そこそこ上手く説明しているかなといったところでしょうか。
それでもそれ以外の部分(放送の裏話等)もかなり含まれており、そこはあまりメディアリテラシーには関係ないかもしれません。
最初の部分「テレビ」のところで、「すべては編集されている」というのは、意外に勘違いしている人も多いのかもしれません。
ドラマやバラエティが編集されているというのは当然と思うでしょうが、ニュースでもそうだということは、覚えておいた方が良さそうです。
ニュースキャスターという人も出てきますが、これが「アナウンサー」なのか違うのかも間違えそうです。
ただし、アメリカのニュースキャスター(アンカーと呼ぶ)と日本ではかなり違うところもあるようで、アメリカではそれはほとんどがベテランの記者が務め、番組全体を取りしきる権限があるのに対し、日本ではそういった例は少ないようです。
新聞の事情も日本とアメリカとでは大きく違い、日本には「全国紙」「ブロック紙」「地方紙」があるのに対し、アメリカには日本の全国紙のような発行部数が多いものは無いようです。
ただし、現在の新聞はいまだに宅配によってほとんどが維持されており、その経費は大変なものだとか。
現在は購読者がどんどんと減っているため、新聞の経営も非常に厳しくなっており、今後さらに苦しくなるようです。
新聞なんてどれを読んでも同じようなものと思っている人が多いのでしょうが、実際にはかなり違うところがあります。
アフガニスタンで一度は壊滅したタリバン政権ですが、その数年後の記事で大きな書き方の差がありました。
2006年の朝日新聞では「タリバーンは政権は崩壊したが残存勢力が潜伏し新メンバーを加え力を蓄えている」と書かれているのに対し、読売新聞は「タリバンは大きな打撃を受け、新兵の徴用も難しくなり先細りとなる」と書いています。
先の見通し次第で書き方にも大差ができ、読者の受ける印象も変わってくるようです。
やはり色々な手段で情報を集めて比較するということが必要になるのでしょう。