「おいしい健康」というサイトの中で、科学ジャーナリストの松永和紀さんが連載しているのですが、そこで輸入食品の安全性について説明されていました。
「おいしい健康」というのは、どうやら栄養士や食について関心の高い人向けのようで、その中で松永さんは「読む、えいよう」と言うコーナーの中の「食の安全と健康」というところで連載をしています。
そういった人たちでも、輸入食品は不安で国産が良いという観念を持っているようです。
実は他の多くの国でもそこの人々は自国産の食品は安全で他国から輸入したものには不安を抱いているようです。
日本の場合は特に中国からの輸入が多いので、中国産食品への不安を持っているのでしょうか。
最初に強調されているのは、農薬、食品添加物、抗生物質などの残留基準というものは輸入品と国産品とでは変わらないということです。
この点から誤解している人も居るようで、輸入食品は基準が緩いのではないかと思っていることもあるようです。
厚労省の発表で、2019年の輸入食品の8.5%にあたる21万件を検査し、763件の違反を見つけたそうです。
その1位は中国で185件、2位がアメリカで136件、3位がベトナムで58件などとなっています。
やっぱり中国が多いと感じるかもしれませんが、実は輸入食品の30%以上が中国からのもので、2位のアメリカの数倍もあり、輸入件数全体の中の違反率で見ると中国はかなり低くなっています。
また国産と輸入品の比較では、厚労省が自治体や検疫所の調査結果を集計した数値がありますが、基準値超過の検出が国産で0.004%、輸入で0.009%という結果でした。
松永さんはこれはほとんど差がないと言えると結論づけています。
中国では日本向け食品は日本の基準値を目標として製造管理をしており、その努力も相当なものと言えます。
各国間の基準値の相違というものはまだかなり多く残っており、それを無視した輸出入はできません。
日本からの輸出品が相手国の基準を越えたために廃棄処分を受けるということも発生しており、ドイツへのお茶や台湾へのリンゴといった事例があるそうです。
なお、輸入食品の検査数が少ないという批判をする人も居ますが、これは統計学的に十分なサンプル数を実施していますので、問題ありません。
しかし、ネット上には誤情報もあふれている状況であり、その中で正しいものを選ぶのは大変なことかもしれません。