爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「国産小麦」が抱える問題。松永和紀さんの記事より

パンなどの売り文句に「国産小麦使用」と、何かそれが安心をくれるものかのように言われることが多いのですが、それが違うという松永さんの指摘です。

news.yahoo.co.jp

高級ベーカリーなど特に「国産小麦、有機栽培、天然酵母」をうたって差別化を図るようですが、国産小麦には「カビ毒」のリスクが高いということです。

 

これは、日本の小麦栽培は秋に播種し翌年の6-8月に収穫するのが普通なのですが、収穫期に降雨が多くなるためにカビの繁殖も活発になり、赤カビ病の原因となるフザリウム属のカビに侵されることが多いからだそうです。

 

フザリウム属のカビは麦に繁殖するとその場でカビ毒(デオキシリバデノール、リバデノールなど)を作ります。

そのために収穫した小麦にもカビ毒が残る危険性があります。

 

調査の結果、現在の国産小麦には基準を越えるようなものは無かったものの、ある程度のカビ毒は含まれているそうです。

そして、国の定める安全基準を普通の食生活をした場合には越えることはないという結果が得られています。

 

しかし、国産小麦を使ったパンばかりに偏った食生活をしていれば値は上昇するかもしれません。

 

なお、輸入小麦は国産小麦よりカビ毒の含有量は少ないのですが、これは特に輸入量の多い北米では降雨量が非常に少ないためだからということです。

 

そして、国産小麦のカビ毒汚染に関わるのが次の「オーガニック(有機栽培)」です。

麦に感染するカビを抑える有効な方法が小麦の開花時(カビが一番増殖しやすい)に化学合成農薬を散布することだそうです。

その有効法を封じてしまっているのが有機栽培です。

化学合成農薬の効果は非常に高いのですが、有機栽培で使うことができる天然由来の農薬的使い方のできるものについて調べたところ、カビを抑える作用のあるものはありませんでした。

 

どうやら「国産小麦の有機栽培」で安心安全と思い込んでいるのは全く逆のようです。

しかし、多くのパン職人はそのことを知らないまま取り組んでいるようです。

 

パンに限らず「国産小麦」という名前に惹かれている人が多いようです。

国産だから安心というわけではないことを知っておくべきでしょう。