爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

台湾で日本産イチゴが残留農薬基準越えが多発という問題。松永和紀さんの紹介記事より。

松永和紀さんがWegdeで紹介していた事例です。

日本産のイチゴを輸入した台湾で、残留農薬の基準値越えが多発したということです。

wedge.ismedia.jp

こういった事例が出ると「日本の農薬規制は世界一甘い」などといったコメントをする人が続出しますが、実際にはそういった解釈は妥当では無いというのが松永さんの意見です。

 

2月から4月までの2か月間に基準値超過で差し止めとなったものが41品、そのうち27品がイチゴでした。

検出された超過農薬は多くは、殺虫剤のクロルフェナピルとフロニカミドでした。

クロルフェナピルの日本のイチゴ使用の場合の基準値は5ppm、台湾ではイチゴには使用できないため0.01ppm、

フロニカミドは日本では2ppm、台湾ではこれもイチゴには使用できないため0.01ppm

日本の基準値は満たしていたものの、台湾の基準値をはるかに越えていたために輸入差し止めとなりました。

 

これは日本の残留農薬基準値が甘いとかいった問題ではなく、「日本と台湾での農薬の使用できる作物に違いがあるため」です。

 

クロルフェナピルも台湾では他の野菜や果物では使用できるものもあり、その場合の残留基準は数ppmと設定されています。

 

つまり、「使用できない作物に残留していた場合は非常に厳しい基準を設けてある」からであり、これは台湾だけでなく日本でも同様です。

 

結局のところ、この騒ぎの原因は「台湾向けに栽培されたイチゴではないもの」を台湾に向けて輸出してしまったという間違いがあったからです。

 

台湾向けとして輸出するつもりであれば、台湾で許された農薬だけを用いることが必要であり、クロルフェナピルやフロニカミドは絶対に使ってはいけなかったはずです。

国内向けに栽培していたイチゴをそのまま台湾向けに発送してしまったのかもしれません。

生産者も輸出業者も細心の注意が必要なところでしょう。

 

松永さんの文章の最後にあるように、このような例は日本国内では「国産は危ない」「農薬は危険」と主張したい人々の宣伝に利用される恐れがあります。

また、日本の関係者に「日本産は高品質で安全」といった思い込みが強い人が居るらしいのも注意が必要な点だということです。