爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「モーパッサン短篇集(Ⅰ) フランス名作対訳叢書」成沢理平訳注

本棚の隅に眠っていたかなり古い本です。

カバーがかけたままとなっていて、それが「CO-OP BOOKS」つまり大学生協書店のものです。

これを買ったのは大学在学中であることは間違いないようです。

 

フランスの作家モーパッサンの短編に、日本語訳を施しその原文と訳文を見開きのページの両側に配置するという「対訳本」という体裁で、語学学習中の人が対象と言うものです。

もう40年以上も前の大学教養時代に、第2外国語で選択したフランス語の勉強にもなるかと思って買ったのでしょう。

 

収められている作品は、「捕虜」「ジュール叔父さん」「遠乗り」というもので、19世紀末のフランスの庶民の生活が感じられるようなもので、あとがきには「モーパッサンの名作中の名作とは言えないとしても、彼の初期の短篇を知るよすがにも、と思ってこれらを選んでみた」とあります。

 

それ以前から中身を知っていたのは「ジュール叔父さん」のみで、放蕩を尽くしてアメリカに逃げた弟が彼の地で成功したという一片の手紙をよこし、それに生活苦を抱えた一家が希望をつないでいるものの・・・という、あらすじです。

フランス語の原文の趣といったものが感じられるほどには勉強も進まなかったので、とても文章を味わうということにはなりませんが、口に出して読んでみるとそのリズムだけは感じることができます。

 

もはや異世界のような古い時代の話ですが、共通して感じられる人の想いというものはつながっているようです。