爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「お悩み祭り ひょっとこ篇」みうらじゅん著

イラストレーターや作家など幅広く活躍されている、みうらじゅんさんが朝日新聞の大阪本社版で人生相談コーナー「お悩み祭り」を担当していたそうですが、その内容を本にしてしまったということです。

 

まあ人生相談と言っても相手がみうらじゅんさんと言うことで、相談者の方も本当のことなのかどうなのか、かなり面白い内容を投げかけており、それにさらに捻った回答をしています。

 

それでは、その中でも選りすぐり?のものをいくつか。

 

岡山県の30代の方から

「子どものころから映画や小説に感情移入しやすいので悩んでいます。(中略)もっと落ち着いて映画を楽しむ方法はありませんか」

みうらさんの回答

「私も途中から見たドラマや映画などにもすぐに感情移入してしまい、ストーリーすら把握できていないのに泣いてしまうことがあります。(中略)

ここはいっそのこと、悲惨な目にあう主人公ではなく、悲惨な目にあわす主人公の映画、たとえば13日の金曜日のジェイソンに感情移入すればいいと思います。絶対死ぬことはありませんのでヘッチャラです」だそうです。

 

岡山県の20代の方から

「髪の毛は頭に生えているときはそれはたいそう大事にされます。しかし抜け落ちくたびれた姿で横たわっていると”ああ汚い”とゴミ箱行き、自分の身体の一部だったものが身体から離れた途端に毛嫌いされるのはなぜ?」

なかなか高度な哲学的疑問とお見受けしました。

対するみうらさんの答え

「自分に対して執着しすぎるのは煩悩です。執着心を無くしていくのが悟りに向かう大切なことです。ついさきほどまで自分に生えていた髪の毛が抜け落ちたとたん、汚らしく感じるのはその執着心から抜け出そうとする人間の機能です。いつまでもそのことを悲しんでいても仕方ないんだぞと思わせています。」

 

答えの方も仏教の深遠な思想に触れて真理を説いているものでした。

 

けっこう、深い内容がちりばめられていました。軽い装丁の本ですがバカにはできない。

 

お悩み祭り ひょっとこ篇

お悩み祭り ひょっとこ篇