爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「やっぱり、このゴミは収集できません」滝沢秀一著

著者の滝沢さんは漫才師として活動しているものの、結婚し子供もできたために定収がなければと考えてゴミ収集会社に就職したそうです。

ゴミを収集していると色々な社会の姿が見えてくるということで、その体験をツイッターで公表すると人気を集めました。

それを本にまとめたということです。

 

職業に貴賎なしなどと言っても、やはりゴミ収集に携わる人々を低く見る人たちも多いようで、そういった人々からの心無い発言も受け続けながらの仕事ですが、彼らから見ればそういった人々の生活の裏側も手に取るように分かります。

その場では言い返してもこじれるばかりなので、適当に相手をするのですが、その腹いせを書いたりということもあったようです。

 

住宅地はやはり経済状態によって色分けされており、貧乏な地域、金持ちばかりが住む地域というのは厳然とわかれています。

ゴミの状況もそれぞれの家庭の経済状況によってかなりの差があるそうです。

特に高級住宅街の金持ちばかりが住む地域では、そもそも「ゴミが少ない」そうです。

少しばかり金回りが良いといった成金地域では非常にゴミが多いということもあるのですが、親代々大金持ちといった地域では出るゴミが少ないようです。

やはり無駄なものは買わないから金持ちなのか、はっきりとはしないようですが。

 

成金小金持ちの地域では、都内では珍しく「剪定された枝葉」や「雑草」といったゴミがかなり出てくるのも特徴的です。

「ああ、ここには庭があるんだ」ということを感じさせてくれます。

しかし、「本当の金持ち」地域になればこういったものは出てきません。

それらの家庭では自分で剪定するようなことはなく、専門の業者にすべて依頼するために刈り取った枝葉や雑草も持ち帰るため、それらをゴミに出すこともありません。

つまり、小金持ち地域では「自分で庭の剪定などをやっている」からだそうです。

 

都内のある地域では、会社のゴミも少量であれば家庭ゴミと同様に収集することがあるそうですが、そのゴミの出し方を見ればその会社が繫栄するのか潰れるのかも分かるそうです。

違反ゴミを頻繁に出すような会社はたいてい「6年以内」に潰れるとか。

やはり会社全体がいい加減で上司からきちんとできないような会社には将来はないそうです。

 

コロナ禍があり、在宅勤務が増えたということもあって、ゴミにも影響が出ました。

時間が余るからか、家の中の整理をやるしかない人が多かったようで、膨大な量のゴミを一気に出す家もあったようです。

一軒で20袋もの洋服を一気に出されて、その地域のゴミが収集者に入りきらないといった問題も出たそうです。

また色々なゴミもこの際出してしまえという人も多かったらしく、収集車の中で発火するというボヤ騒ぎも多かったとか。

特にリチウムイオンバッテリーというのが曲者で、ゴミ圧縮で圧力がかかると火を噴くそうです。

それもすぐではなく数十分後に発火するということで、小型爆弾のような危険があるようです。

 

それでも冷たい態度の人ばかりではなく、ありがとうと声をかけてくれる人もあり、また小学生の男の子が収集作業の間ネットを持っていてくれたりということもあるそうです。

 

ゴミを見ればその人の生活が分かるというのは確かでしょう。

まあ、だから気を付けるという人はそもそもその必要もないくらいしっかりした人なのでしょうが。

そんなことは全く欠片も頭の中に無い人が問題なのですから。