自動車を自動的に動かしてやろうという自動運転、今も精力的に研究が続けられ色々なニュースが流れてきます。
この本は2017年の出版ですが、どんどんと状況は変化しているようです。
自動運転が生まれた理由としては、高齢者ドライバーの増加やトラックやバスの運転手不足といったことが挙げられます。
実は、飛行機や鉄道の分野ではすでにかなり自動運転が取り入れられ、実用化されています。
飛行機でも離着陸時以外にはほとんど自動運転ですし、鉄道ではまったく無人のものも存在します。
これは、両者とも非常に制限された空間のみを走り障害物もほとんど無いという理由でした。
それが無数にある道路上を走る自動車の場合はやはりかなり困難な条件があります。
自動運転を行う上で最重要なのは、人間の眼にあたるセンサーです。
これには3種あり、カメラ、レーダー、レーザーです。
それぞれに長所短所があり、各メーカーもどれを使うかは戦略次第のようです。
複数のセンサーを組み合わせるのが現在の主流ですが多ければ安全とはいえコストがかかるので最適な状態を見つけるというのが問題になります。
また、完全にセンサーだけで判断をするわけではなく、高精度の地図を持つことが必要であり、それと異なる部分だけをセンサーで判断することが実用化につながることになります。
自動運転の開発では、衝突被害軽減ブレーキから始まり、クルーズコントロール、パーキングアシストと発達してきました。
自動運転のレベル分けということがなされ、レベル1から4までを分けた米国運輸道路交通安全局の基準が使われていましたが、2016年にアメリカの非営利団体SAEの定めた6段階基準が使われるようになっています。
SAEレベルでは 0、すべて人間、1、機械が時々支援、2、機械がいくつかの運転タスクを担当、3、機械が運転するが人間は常に制御可能な状態でいること、4、自動化運転をし人間は制御を取り戻す必要がない、5、機械がすべて運転
となっています。
現状ではレベル2が実用化されています。
今後の自動運転開発のためには、ある街区に限定して低速での運転を実現していくことが必要なようです。
その範囲内だけに限れば地図の高精度化も容易であり、またごく低速に限ることで情報処理も容易になるとか。
やはりどこでも自由に走り回るような車の自動化というのは壁が高いようです。
ただし、今後レベル3に進んでいった場合にも必ず「人間がすぐに代われる」ことが必要になります。
自動運転をしだすと人間が乗っていても油断しきってしまって他のことをやりだすでしょうから、これが一番の課題となります。
高速運転になればもしもの時には瞬時に交代しなければならないのですが、その緊張に耐えられるかどうか、極めて疑問です。
自動化した場合に事故が起きたら人間の責任なのか、機械の責任なのか。これも大きな問題になりそうです。
保険会社ではすでにかなりの検討を重ねているようです。
やはりレベル3までは責任主体は人間ということのようです。
免許も必要となりますが、その移行は上手くいくかどうか。
機械の開発ということはどんどんと進むのでしょうが、社会の対応が難しいようです。
早目に取り組む必要があるのでしょう。