オペラというものには根強いファンがいるのでしょう。
クラシックのコンサートを聴きに行くのとはまた違った楽しみ方があるようです。
しかし、よく聴きに行くという人たちでもそのオペラについてどれほど知っているか、意外に知られていない部分があるのかもしれません。
ということで、かなりのオペラファンでもそのオペラについて少しは知識を仕入れても良いのかもと音楽評論家でもう長く「音楽の友」誌などにクラシック音楽やオペラに関する記事を執筆してこられた堀内さんが、少々解説を加えています。
50のオペラについて、それぞれ4ページほどのスペースで簡単なデータ、楽しむための蘊蓄等々、できるかぎり入れ込んであります。
ただし、私自身はオペラはほとんど知らず、実際に劇場に出かけたことは一度もなし。
有名なアリアや序曲などは聞いたことはあるものの、通しでレコードを聴いたということもなし。
そんなわけで、この本を読んでもほとんどイメージも湧きませんでした。
そもそも、題名だけ見ても知っているのが、アイーダ、カルメン、こうもり、セビリャの理髪師、タンホイザー、椿姫、トスカ、魔笛と言った程度。
それも名前だけで中身はほとんど知らないというもので、色々とお宝情報が書いてあるのでしょうが、馬耳東風状態でした。
しかし、そのあらすじをちらっと見ても、結構スキャンダラスな内容や、陰惨極まりないというもの、最後には登場人物全部死んでしまうものなど、あまり娯楽とも言えない様なものが多いのには驚きました。
例えば、ゲーテの「若きウェルテルの悩み」をオペラ化したジュール・マスネの「ウェルテル」も最後はシャルロッテに愛を拒まれウェルテルは自殺して果てる。
ヴェルディの「オテロ」は原作のシェイクスピアのもの同様に、妻デズデーモナの不倫を吹き込まれたオテロは妻を殺害するが真実を知り自殺する。
同じくヴェルディの「仮面舞踏会」では、総督リッカルドは部下レナートの妻に想いを寄せていることをレナートに知られてしまい、レナートは妻に死を命じるとともにリッカルド暗殺を謀り、仮面舞踏会の夜に惨劇が起きリッカルドは息を引き取る。
なんて言うあらすじのものばかりというものです。
まあ、日本の歌舞伎もあらすじだけを追っていけば似たようなものか。
なお、さすがに堀内さんの解説では、歌手の技量とそのオペラでの表現といったことも触れられており、オペラによっては超一流の歌手を揃えなければ楽しめないというものもあるようです。
あまり、知りすぎても楽しめないのかもしれません。