この本はかつて読んだ時に非常に感銘を受け、それ以降の自分の考え方に大きな影響を受けたものです。
環境問題などに興味を持つようになったのは、太陽光発電や風力発電がうさん臭いということに気づきだしたころからだったのですが、その内に「オイルピーク説」というものに出会いました。
それを日本で主導していたのが、東大名誉教授で、前「もったいない学会」会長の本書著者の石井吉徳さんでした。
ネット上でもいろいろと拝見したのですが、書籍でも確認しようと買ったのがこの本でした。
石油の供給がこの先徐々に減っていくというのが「オイルピーク説」ですが、それだけにとどまらず、本の中では経済成長というものは資源制約がある中では不可能であるということや、食糧生産も石油エネルギーに支配されているので食糧供給に今後陰りがでるなど、多くの衝撃を受けました。
私が今「エネルギー依存文明論」を展開しているのも、この本やその他の情報に触発されてから繰り広げてきたものです。
本書内容も、多くはその後さまざまな場面で論じていることが多いので、各章の題名をあげるのみにしておきます。
第1章 最後の石油争奪戦が始まった
第2章 地球は有限、自然にも限りがある
第3章 エネルギーが決める文明の姿
第4章 そして20世紀は石油の世紀
第5章 今ある危機を認識し「石油ピーク」を考える
第6章 資源とは何か、油・ガス田とは
第7章 「地球の限界」が近づいている
第8章 21世紀の脱浪費社会
ほとんどの内容は今でも全く色褪せていないものです。
というのも、この本が出版された2006年から多くの人の認識には全く変化がないからとも言えます。
相変わらずまだ経済成長があると信じ込み、そのための方策だけを追い求める。
エネルギーだけでなく、資源にも限界がある。
それが成長が止まった最大の要因だということが分かっていないからでしょう。