雑感その1はあくまでも導入部で、それほど大したことを書いてなかったので、拍子抜けと感じられたかもしれません。
ここからは現在の名付け問題にも触れて行きますのでご期待を?
3.最近の流行
ここではどうしても「キラキラネーム」や「読めない名前」を取り上げなければいけないでしょう。
キラキラネーム、またはDQNネームと言うものは1990年代半ばから登場してきたそうですが、一気に増えたのは2000年以降だそうです。
インターネットのスラングでDQNという言葉がありますが、それが名付けの流行に使われるようになり、それまでの常識では考えられないような子供の名付けに対して「DQNネーム」と呼ぶようになりました。
それが2010年頃からは「キラキラネーム」と呼ばれるようになったそうです。
上記のウィキペディアから引用します。
常識的に考えがたい名前や、名乗りにない読みをする名前、カタカナ名に音を当てはめたような当て字の多い名前の一部に対し、2000年代に、日本語のインターネットスラングや蔑称・誹謗中傷の一つ
DQN の派生語として「DQNネーム」という表記がインターネット上で流行した
まあ、具体例の表示は差し控えておきます。
そして、それが影響して爆発的に増加したのが「読めない名前」です。
いわゆる「キラキラネーム風」とばかりは言えないものでも、通常の漢字の読み方を無視して違う読み方を自称するというものです。
これも具体例表示は控えますが、たとえば「心」という漢字を「こころ」と読ませるのではなく「ここ」や「こ」と読ませるのもこの一種でしょう。
ただし、実は日本人の人名漢字の読み方には昔から特別なものがあったようです。
これを「名乗り訓」とか「人名訓」と呼び、人名漢字辞書なるものも発売されているようです。
このウィキペディアには、いろいろな例が挙げられていますが、漢字本来の意味に近い読み方も含まれており、様々な状況があるようです。
これについては、以前から「光」という漢字を「みつ」と読む人名が数多く、不思議に思っていました。
「光」はどう考えても光線や明かりといった意味でしょうが、そのどこから「みつ」という読み方ができたのか、しかもこの読み方の人名はかなり古い時代から存在したようです。
そんな歴史を持つ人名訓ですから、現在の状況も一概に変だとか悪いとか言うべきものではないのかもしれません。
しかし、通常の常識的読み方ではない名前の読み方を主張されるのも、困る人が多いようです。
特にそれが激しくなったのはこの10年ほどでしょうが、今では小学校や幼稚園、保育園に通うようになり、そこの先生たちや保育士さんが苦労されているようです。
ただし、一つ考えておくべきことは、「日本の戸籍には漢字の読み方は書かれていない」ということです。
出生届に読み方まで書いて提出しますので、勘違いする人が多いのでしょうが、戸籍自体には読み方は記されません。
しかし、全部の自治体ではないものの一部では住民票に名前の読み方を書くことがあるそうです。
そして、出生届を受理する自治体側としては記載されている漢字が認められている範囲内かどうかということは審査しますが、読み方については口を出さないようです。
これは、漢字の読み方という難しい問題はとても自治体担当者の手に負えるものではないからでしょう。
漢字が常用漢字表、人名漢字表に含まれているかどうかは調べることができますが、その読み方については規定されていないはずです。
そこで担当者がいくら「この漢字はそうは読めない」と言っても、提出者が「この読み方の例は万葉集にある」などと言えば担当者の知るところをはるかに越えてしまいます。
逆に言えば、「戸籍には読み方は明記されていないので、読む方の自由だ」とも言えないことはありません。
本人や親が「この子の名前はこう読む」と言い張っても、「日本語ではそうは読めない」と言って勝手に読めば良いのかもしれません。
4.「大切な我が子には世界でただ一つの名前がつけたい」
上記で述べたような混乱が起きている原因の一つが、「世界でたった一つの名前」というものです。
私がインターネットで情報を集めだしたのは10年ほど前からですが、その頃からよく見ていたのが「掲示板」というものでした。
いろいろな話題を投稿し、それに対する意見が見た人から書き込まれるといったものでした。
某新聞社のホームページにあるものをよく見ていましたが、どうやらそこをよく利用するのは若い女性が多かったようです。
そこでしばしば目にしたのが「子供の名前がかぶった」という苦情の書き込みでした。
若い母親たちは自分の子供の名付けというものに、異常なほどのこだわりを持っているようです。
そして、そこまで苦労して付けた名前を近い関係の人に使われると、これまた異常なほどの反応を見せていました。
それが、自分の兄弟や従兄弟などの近い親戚などでしたら、実質的に問題も発生する(親戚内で同じ名前の子どもが重なる)でしょうが、それほど親しいとも思えない友人や会社の同僚が自分の子と同じ名前を自らの子に付けたというだけで「モヤモヤしています」と書き込んでいます。
その傾向が高まって、普通では考えられないようなキラキラネームや、ありえない漢字の読み方をさせるといったことにつながったのではないでしょうか。
ただし、思わず笑ってしまうのが、そういった努力をして名前を選んでいるのでしょうが、自分の近くには無い名前を選んだつもりが全国的に見れば同年代の子どもたちが皆同じような名前になってしまっていることでしょうか。
それでは「名前がかぶる」のも避けられないでしょう。
また使われる漢字の流行にも独特のものがあるようです。
男の子の名前に最近頻繁に出てくる字が「翔」や「颯」、「陽」、「結」といったものでしょう。
陽、結はまだ普通に使われる漢字ですが(ただし読み方はヨウ、ケツではありません)翔、颯は一般にはほとんど使われることはないでしょう。
しかも、この漢字の難しいこと。
おそらくこの字を自分の名前に使われた子供は、自分で書くことができるのは小学校も高学年になってからでしょうか。
また「琉」の字もかなり使われるようです。
この字が「琉球」以外の意味で使われたことを見たことがありませんが。
皆が皆、沖縄に縁のある人とも思えません。
なお、「ほぼ他に使っている人の居ない名前」でしたら、日本古代の人名を参考にした方が確かかもしれません。
家持(やかもち)や虫麻呂(むしまろ)といった名前でしたら、現在の日本には居たとしても数名ではないかと思いますが。
(一応、これで完。また気が向いたら追加するかも)