こんなこと書いて反発されるかもしれませんが、年寄りのボヤキです。
我が家の購読新聞、熊本日日新聞はさすがに県内限定のローカル新聞なので、全国版の大新聞にはない欄があります。
それが「赤ちゃん紹介」
2歳までの子どもの写真を投稿すると載せてくれるというもので、2日に一度くらい、1回に8人の子どもが紹介されます。
可愛い写真ばかりなのですが、名前も載っているので最近の名付けの傾向というものも見えてきます。
いろいろなパターンがあり、親世代にも多いような伝統的名付けもある一方、最近の流行らしき名前も目に付きます。
その中でちょっと困るのが「読めない名前」
漢字の名付けなのですが、普通ではない読み方をさせるものです。
これは社会的な問題にもなっていて、保育園や小学校の先生が何と読んだらよいか分からない場合が多いということが言われたこともありました。
その「読めない理由」というのが、凝りすぎていて漢検1級でなければ分からないというのではなく、(たまにはありますが)、別の理由から来ています。
それが、「日本語での漢字の読み方の原則を無視しているから」ということです。
漢字の読み方には音読みと訓読みがあるということは誰でも分かっているでしょう。
「音読み」はかつて中国から漢字が日本に入ってきた時の中国風の読み方です。
もちろん、中国語の読み方そのものではなく、日本風に変化したものです。
なお、入ってきた時代によってかなり違いがあり、たとえば「行」という感じには「コウ」「ギョウ」「アン」などの読み方があります。
「訓読み」はそれに対して「その漢字の意味に対応する日本語の意味」を表します。
「頭」という漢字は訓読みでは「アタマ」と読みますが、これは身体の部分で首より上のことをヤマトコトバで「アタマ」と呼んでいたからに他なりません。
したがって、「頭」という漢字を「ア」とか「アタ」と読むのは意味がないことです。
ところが、子どもの名付けでこれが頻発しています。
実際によく使われている漢字について挙げると個人を非難しているように見えるので遠慮しておきますが、あまり使われない漢字で言うと「体」を「カ」や「カラ」「ラダ」、「命」を「イ」や「イノ」、「ノチ」と読むような読み方をしている例が見られます。
これはちょっと、日本語の表記の体系に悪影響を与えますね。
こういった名付けをすることが個性的だというのは大きな勘違いでしょう。
これと比較すると、一時多かった「暴走族風万葉仮名」の方がまだマシかもしれません。
「夜露死苦」と書いて「よろしく」と読ませるといったものですが、これでもまだ「漢字の読み方の原則」を逸脱していないからです。
日本の現在の戸籍では漢字の読み方は記載されていません。
出生届で名前の読み方も書かせる自治体もあるようですが、これは法的には決まっていることではないようです。
だからと言ってどう読んでも良いということではないと思うのですが。
突飛な名前を付けたいのであれば、ぜひカタカナかひらがなで書いてほしいものです。