爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「目からウロコの自然観察」唐沢孝一著

ほとんど自然などないような都会でもよく見れば動物や植物の姿を目にすることができます。

そういったものをじっくりと観察するという人も多いようで、その中から色々な生物活動の様子にふれることができます。

 

そういった、何気ない身近な自然というものを観察すると何が分かるか。

結構知らなかったことがあるようです。

 

著者の唐沢さんは、東京の江戸川にお住まいのようです。

いつもの散歩のルートの途中で、建物が取り壊されて空き地ができました。

すぐに次の建物が建てられてるわけではなく、しばらくの間は放ったらかしになりました。

すると、すぐに多くの雑草が繁茂してきます。

メヒシバ、エノコログサスベリヒユといった植物ですが、これらの種子はどこからやってくるのでしょうか。

実は、建物の下に埋め込まれていた長い間にも、種子は何年もの間生き続け、チャンスを待っていたのです。

ようやく建物が取り壊されて、邪魔物が無くなると一気に芽を出しました。

都会であればそれほど長くは空き地のままでは居られませんが、もしも5年10年となると徐々にススキやセイタカアワダチソウといった多年生植物に移り変わり、やがてアカメガシワ、センダン、クワといった木本植物に移行していくそうです。

 

神奈川県大磯町の海岸にはアオバトが飛来し、海水を飲む場面が見られるそうです。

遮るものもない海岸で海水を飲むという行為は、実はアオバトにとって非常に危険なことです。

ハヤブサなどの大型肉食鳥類が上空から狙っています。

しかし、その隙をついて海水にありつきます。

他の鳥類などでは、海水を飲むということはありませんが、アオバトには必須です。

アオバトの主食は果実であるために、ナトリウム不足になるため、海水を時々飲むことが必要なのだそうです。

 

日本では生け垣というものは住宅の周囲に限られているようですが、イギリスでは畑地や牧場の周囲を生け垣が囲んでいます。

これを「ヘッジロー」と言いますが、これがあることでイギリスでは生物多様性が向上しているようです。

国土の70%以上が畑地・牧場であるイギリスでは、生け垣がなければ畑の作物や牧草だけが植生となり、多様性が低下するそうです。

 

 稲刈りをしていると、多くの鳥が集まってくるのは知っていました。

それを「オートライシズム」と呼ぶそうです。

鳥や動物が人間の活動を積極的に利用して利益を得ることだそうです。

この場合は、サギがコンバインの稲刈りの際に飛び出してくるカエルやイナゴを狙って集まっています。

多くはシラサギなのですが、シラサギを呼ばれる鳥類の中でもアオサギチュウサギに限られており、ダイサギコサギはほとんど集まらないということです。

これは、シラサギの中でも細かい違いがあり、特にクチバシの形が異なり、カエルやイナゴといった生物を好むのがアオサギチュウサギであるからだそうです。

 

日頃、身近に見かける生物にも色々な話題があるものです。