世論のあまりに激しい反発に恐れをなしたか、森喜朗はじめ「オリンピックの酷暑対策に夏時間」を言い出した連中も口をつぐんで何も言わなくなりました。
内田樹さんもサンデー毎日に夏時間についてという文章を書いたそうですが、もったいないのでこの馬鹿げた論争の記念として記録しておくということです。
内田さんの論点はやはり、IT関係などのシステムへの悪影響とその対応への要員不足で実施不可能というところが一番でした。
さらに、それとは直接関係ないものの、オリンピックに関しての問題点を挙げています。
もっとも重大なのは、東京招致に関わる汚職疑惑でしょう。
IOC委員であったディアックという者に2億3000万円を渡し、ディアック親子はその後逃亡し行方不明とか。
明らかにオリンピック憲章違反であり開催中止すらありえることだそうです。
他にも、福島原発事故後の状況を「アンダーコントロール」とした安倍発言、新国立競技場建設問題、ボランティア11万人の「学徒動員」など、いろいろな問題が山積みです。
夏時間問題については、世論調査で半分以上が「YES」と答えたものがあったということを内田さんは驚きと嘆きとともに記しています。
こんなものは、世論調査の聞き方次第で望む結果を出すことなど容易なことでしょうから、驚きもしませんが。
反射的に答えるという世論調査の応答に何の意味があるのか考えるべきでしょう。
どうせ、「東京オリンピックの酷暑対策として、夏時間採用の必要性が議論されています。これについてどう思いますか」といった質問に、「賛成である。どちらかといえば賛成である。反対である」の3選択肢を出し、ほとんどが「どちらかと言えば」を選ぶ馬鹿ばかりで、結果として賛成多数といった程度の調査でしょう。
さらに、欧米のサマータイム実施国でも最近では廃止の動きが強まっていることも紹介されています。
もはや我慢の限界でしょうか。
ここで何度も書いていますが、そのようなことより「自分自身の生活に夏時間はどう影響するか」を想像してほしいと思います。
夏時間の詳細手順は発表されていませんが、欧米の実施国の状況を見ればだいたいわかります。
しかも今回の計画ではなんと「2時間ずらす」という破壊的なことを言い出しています。
するとどうなるか。
4月1日に時計を2時間早めることになります。
そして、9月30日に2時間遅くし元に戻します。
今現在、10月初旬はようやく夏時間から戻ったばかりということです。
9月下旬では、日の出も相当遅くなり、九州では6時過ぎです。
これが、夏時間であれば「8時」であったわけです。
8時はほとんどの通勤通学者はもう家を出ています。その頃にようやく朝日が上り始める。こんな危険な時間帯は作るべきではありません。
朝の5時はまだ真っ暗です。これが夏時間では7時。このへんの小学生はもう登校を始めています。薄明かりすらない真っ暗闇の小学校登校がどういうものか、少しは想像してください。
これからも、何かにつけて「サマータイム導入」の亡霊を呼び出そうとする輩は出てくるでしょうが、すぐに潰さなければなりません。そのためには、「想像力」を駆使して自分たちの生活がどうなるのかを考えてみてください。