経済本というものは恐ろしいもので、消費期限が非常に短くあとから振り返ると何でこんな本が出たんだろうと思わざるを得ない場合も多いようです。
この本もまさにそういった類のもので、バブル最盛期の1990年に出版されています。
内容はそれでも日本経済礼賛というばかりではないようですが、とにかく題名がこれでは。
著者は名古屋大学名誉教授で政府からも信頼厚く大平内閣のブレーンでもあったとか。
1985年のプラザ合意によりドル安円高に誘導され、なんと円が2倍近い価値になったことが大きな要因であったのは間違いないのですが、本書の理解は「それでも日本の製造業は復活した」ということに力点がおかれており、円高によるバブル景気というものには意識が向いていなかったようです。
ましてやその後のバブル崩壊などは想像もできなかったことなのでしょう。
まあ、「極まっちゃった後」のボロボロ経済はその後多くの人がたっぷりと語っていることですが(玉石混交ですが)、そのわずか前にはこの状態が日本の力かのように見ていた人もいたということは恐ろしいほどです。
その後の情報化時代の到来ということもある程度は予測されていますが、これほどまでのネット化などは想像もできない時代でした。
さらにその情報化時代は日本が先導しているとも書かれていますが、あっという間にそうではなくなったということも後から見れば痛すぎる見方です。
しかし後知恵であれこれ言うだけというのも芸が無い。
部分的には参考にすべき意見もあちこちに見えます。
どんなものにも見るべきところはあるかも、そしてそれを活かすかどうか。
いやはや難しい本なのかもしれません。