爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「ソーシャルメディア解体全書」山口真一著

ソーシャルメディアとはインターネットを利用する双方向メディアのことです。

したがって、FacebookなどのSNSだけでなく、動画共有サービス、ブログ、クチコミサイトなども含まれます。

こういったものが急激に広まっていますが、その結果多くの問題が持ち上がっています。

そういったことを解析していきます。

 

社会の分断、フェイクニュース、ネット炎上、といったことが取り上げられますが、その現実は意外なものかもしれません。

たとえば、ネット炎上というと多数の人々が一気に批判を集中するというイメージですが、実際にはごくわずかの人々が繰り返し投稿しているだけだということが示されています。

2016年からの3年間に炎上したと認められる事例22件を見たところ、批判的なコメントを投稿した人数が平均235人、一番少なかったものはわずか15人だったということです。

これはその炎上記事を見た人間の数からみると圧倒的に少ないものです。

つまりごくわずかな人間が集中的に批判をしているだけなのが炎上だということです。

 

炎上する対象は「不謹慎」「自粛すべき」というキーワードに反するものということが目立つところです。

これは東日本大震災熊本地震、コロナ禍の時によく見られるものでした。

ただし、このキーワードを比べてみると、東日本大震災熊本地震の際には「不謹慎」ということが多数出てきたのに対し、コロナ禍では「自粛」という言葉が圧倒的だったようです。

 

バイトテロという事件が多発したことがありました。

アルバイトの店員が店の中で冷蔵庫に入るとかいった悪ふざけをして、それをSNSなどにアップしたものが広く流出し大問題となったものです。

本人たちも仲間内だけで見せ合うつもりだったのでしょうが、それが漏れ出してしまいました。

これにはかなり有名なYoutuberが関わっていたということです。

彼らが自分たちで見つけ出すか、あるいはタレコミで知ってそれを公表するということがあったとか。

その結果は甚大で、店が閉店せざるを得なくなった場合も多く、それをバイトの当事者へ損害請求訴訟という事態に発展しました。

また当事者の個人情報も拡散され、その後も消すことができずに以降の人生に悪影響が残っている場合が多いそうです。

 

このように大きな社会的影響力をもつソーシャルメディアですが、この多くはインターネットを利用しているため、GDPに反映されないという問題点があるそうです。

利用者はインターネットサービスに多くの時間を費やしているのですが、それがGDP的には何もしていないも同然の扱いをされている。

これはおかしいという声も上がっているようです。

著者が試算したところ、年間18兆円にもあたるとか。

 

急激に広がったネット社会ですが、その副作用ともいうべき状況はまだまだ始まったばかりのようです。

早いうちに対策していかなければならないのでしょう。