はちみつがグリホサートという農薬で汚染されているというニュースが流されているということから、リスク学者の永井孝志さんが、はちみつおよびミツバチの農薬汚染について調べています。
こういった話題は時折流されますが、実際にはちみつやミツバチがどのような農薬でどの程度汚染されているかということはあまり知られていないようです。
グリホサートという除草剤は、遺伝子組み換えの作物とセットで売り出されたという経緯があり、特に攻撃目標とされてきたもので、今回のニュースもそれに沿ったもののようです。
週刊新潮が執念ぶかく報道していますが、「発がん性疑惑の農薬を基準値を越えて含むはちみつ」といったセンセーショナルな表題です。
実際には基準値自体が非常に低い値に設定されており、健康被害が出る恐れはほとんどないのですが、メーカーは自主回収ということになったそうです。
しかし、永井さんが調べても、実際にはちみつからどのような農薬が検出されるのかということを包括的に調べたものがあまり見当たらなかったそうです。
その中でようやく探り当てたのが、パレスチナのガザイスラム大学というところのエル・ナハルという研究者の論文だったそうです。
それによると、比較的リスクが高いと見られるのが、POPs(Persistent Organic Pollutants)と呼ばれる、ディルドリンやDDTなど過去に使われた難分解性の農薬だったようです。
さらにそれに続くのは、現在も養蜂家によって使われている、殺ダニ剤でフルバリネートやアミトラズという農薬だそうです。
よく言われる、ネオニコチノイド系農薬やグリホサートなどは検出されたとしても非常に微量で問題となることはないとか。
他に、「みつろう」や「ミツバチ自体」の汚染を調べたものを見ても、やはり養蜂家が使っている殺ダニ剤の検出濃度が高いということです。
ただし、もちろんこれらの殺ダニ剤も問題となるようなリスクはないようです。
(なお、殺ダニ剤は「農薬」ではなく「動物用医薬品」として扱われますが、残留の影響を見る場合は同じです)
時折問題となる残留農薬ですが、実際にはその全容を見るような研究はあまり実施されていないようです。