爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「ダルタニャン物語4 謎の修道僧」A・デュマ著

「二十年後」のその第2話。

マザラン派のダルタニャンとポルトス、フロンド派のアトスとアラミスはそれぞれの勢力内でかなりの実力者となり、それぞれ活躍をしていきます。

ただし、太后アンヌ・ドートリッシュと宰相マザランの動きも複雑、フロンド派も様々な勢力があり複雑ということで、なかなか簡単に筋をまとめるというわけにもいきません。

あらすじをまとめるなどと言うことはあきらめ、印象的な場面を綴っていきます。

 

アトスと別れて戦地に向かうラウルは途上で水難事故を目撃、あわや水死しようかという貴公子を救い、そのギーシュ伯爵とは親友となります。

連れだって戦地に向かうのですが、中途でスペイン兵に襲われて瀕死の人物を救います。

もはや助からないと告解のための教戒師を求められるのですが、戦争ということで誰もいません。通りかかった修行僧を無理やり連れてきたのですが。

実はその瀕死の人物が20年前のあの事件でミレディーを斬首した死刑執行人、そして修行僧がミレディーの息子のモードントだという、偶然すぎる設定でした。

全てを聞き取ったモードントは瀕死の男でも許さずナイフを突き刺します。

 

モードントはイギリスの支配者オリヴァー・クロムウェルの腹心で、クロムウェルの命を受けてフランスに使者として来たのでした。

イギリスも王家の存続の危機であり、チャールズ1世はもはや風前の灯、王妃のアンリエットはフランス王家の出身のためフランスに亡命していたのですが、それを頼ってチャールズもフランスに亡命することを阻止するようにマザランに申し入れました。

 

しかしチャールズの腹心ウィンター卿もパリへやってきてマザランにチャールズ支援を申し入れます。マザランにすげなく断られたウィンターは旧友の力を借りるようとします。

それがアトスとアラミスでした。

アンリエット王妃からも懇願された二人はウィンターとイギリスに渡ります。

 

まさにその頃、マザランはダルタニャンとポルトスに命じモードントと共にイギリスに渡ってクロムウェルに密書を渡すように指示されます。

こうして4人はまたイギリスの地で出会うこととなります。

 

出会うといってもまさに戦場。チャールズ1世の最後の戦いで、ウィンター卿はモードントに打ち殺されますが、アトスとアラミスはまさにその場に居合わせたダルタニャンとポルトスに捕らえられ捕虜とされます。

モードントはその捕虜も殺そうとしますが、ダルタニャンはうまく立ち回り4人でロンドンを目指して逃れることとなります。

 

それでは印象的な場面を。

フロンドの乱で市民が蜂起し王宮に迫ります。

もはや王と太后がパリを逃れたのではないかと疑った市民たちですが、このままでは王宮が破壊されると見たダルタニャンは国王はまだ逃げていないということを示すために国王のベッドに市民の代表を招き入れることとします。

「こんなことをおたずねして失礼かと存じますが、この寝床でおやすみになっているのはたしかに国王陛下でございましょうか」

アンヌ・ドートリッシュはびくりと身体をふるわせた。

「国王のお顔に見覚えのあるかたはそばによってここに居られるのが陛下かどうか、おっしゃってください」

マントに身を包み顔まで隠した男がまじまじと眺めた。ダルタニャンにはそれが大司教補だと分かった。

「確かに国王です。神が陛下に祝福を垂れたまわんことを」

しかし、これで市民たちが退出した直後に国王たちはパリを逃れることになります。