爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

自殺のリスク評価、若年層の自殺が増えているので影響は大きくなっている

リスク学者永井孝志さんのブログですが、「自殺のリスク評価」という記事が出ていました。

nagaitakashi.net特に最近は若年者の自殺が増えているようだという印象はありますが、それをはっきりと数字で示しています。

 

年代別の自殺リスクの経年変化というものを示したグラフが示されていますが、1995年から5年おきに示したものでも、10代、20代は明らかに近年増加しているのに対し、50代以上は減少しています。

男女別にした場合は女性ではさらに明確に傾向が見られ、10代は急増、高齢者は減少しています。

 

これまでは自殺者といえば高齢者が多く、健康不安や経済的な問題で自殺するという例が多かったのでしょうが、その印象はかなり変えなければならないということです。

 

そしてここで主張されているのが、自殺リスクを「損失余命」で見るべきだということです。

損失余命というのは様々なリスクを評価する際に「それで余命がどれだけ短くなったか」で示すというものです。

これは若年者が被害を受けた場合にはより大きな数値となるため、社会全体の損失をよりはっきりと示すことができます。(年寄りは死んでも仕方ないとは言いませんが)

 

これを示すことで、たとえ自殺者の総数が減ったとしても若年層が増えれば損失余命は増加するということもあり得ることになります。

 

政府も自殺については対策を進めていますが、その目標として「自殺者数の減少」を挙げていては若年の自殺者増というものをとらえることはできません。

実際に1995年から2000年までの期間に自殺者数は5%減少していますが、損失余命は8%も増えてしまいました。

ここはやはり政府の目標にも損失余命を取り入れて、若年者の自殺の防止というものを抑制するということをはっきりと打ち出すべきだということです。

 

自殺者が続出するという社会は「良い社会」とは全く逆のものだというのは当然でしょう。

それを何とかしなければならないという思いは政府まで含めて皆が共有しなければならないものです。

そのために何をすればよいか。それが政府に求められるものです。