今日の熊本日日新聞のコラム、「経済サプリ」というところで東大の岡崎哲二教授が書いていたのが、「物価と賃金」というものでした。
(会員以外には読みづらいようです)
今の政府は物価上昇と賃金上昇が伴うことを「好循環」とみています。
しかし岡崎さんの文章ではかつてはそれが連動していたことを「悪循環」とみていました。
確かに私が就職したころはもう40年以上も前のことになりますが、その当時は賃金アップも10%に近いものですが、それ以上に物価上昇が激しかったようです。
そのため生活防衛のためにも賃金の大幅アップが不可欠でしたが、それがまた会社の製品価格を押し上げて物価も上昇していく。
まさに「悪循環」というイメージに合うものでした。
それが今では両方上がるのが「好循環」であり、それが達成されるまでは金融緩和を続けるなどという政府日銀の姿勢の口実にもされています。
しかしどうも私には昔の感覚も残っているためか、悪循環にしか感じられません。
そもそも物価上昇率に連動して賃金も同じだけ上がっていったら経済構造改革にもなりません。
上がるところもあれば上げられないところもあり、上げられない業種・企業からは労働者が逃げ出すということで経済構造が変わっていくということが、(公言はしなくても)政府の心理の中にはあるはずです。
そこには撤退する企業、再就職を迫られる労働者が出ることが必然でありそれなくしては構造改革にはなりません。
しかしそれを明言すると内閣支持率がさらに下がると思ってか口を濁します。
それでも物価上昇が起きれば賃金があげられるところだけが生き残る「好循環」であると言い張り、それが起きるまでは金をつぎ込む。
どうやら日本経済はさらに混迷を深めるだけのようです。