本書で繰り返し強調されるように、平穏な生活を送る人々が急に犯罪で被害を受けるということが頻発しています。
中にはまったく見ず知らずの犯人が「だれでも良かった」と襲うということもあり、被害者にとっては不条理極まりないものです。
そういった犯罪被害を少しでも減らせないか。
著者の小森さんは陸上競技と共に空手などの武術の修行も長年行い、教職を務めてきたということで、多くの指導歴も持っているそうです。
「護身術」ということにも深く関わってきました。
しかしそのような突発的な暴力に対し、空手や柔道などのいわゆる「武術」ではあまり護身の役には立たないということも実感してきたそうです。
そういった武術はあくまでもルールの基に同じ武術を行なう者同士が対戦することを前提としていますが、暴力犯罪ではそんなルールなどありません。
どのような行動を取って来るか分からない相手に対し、武術をいくら修行し身に着けても完全な防御は難しいということです。
しかもほとんどの人はそのような武術の修行に時間を使うことはできません。
そこで、何とか修行なしに知識だけで身を守ることができないか。
それを目指して書かれた本です。
ただし、読んだ実感から言えば「読むだけで」すぐに護身術が分るというほどには分かりやすくはなかったと思います。
やはり多くの犯罪事例があり、それは千差万別ですから一つの方法だけで大丈夫などと言うことはあり得ず、簡単ではないでしょう。
それでもあちこちに書かれている中で覚えておくべきことはいくつかありそうです。
「まずできるだけ逃げる」
「手近なもので相手の弱点をつく」
「目つぶしなどが効果的」といったところでしょうか。
なお、やはり最高の護身は「君子危うきに近寄らず」だそうです。
いくら比較的安全な日本とは言え夜間に人目のないところを無防備でフラフラというのは危なすぎます。
やはり普段から警戒心を持ち周りに気を配るということでしょう。
ボーッとスマホを見ながら歩くなどと言うことは無いようにするべきです。