いわゆる「特殊詐欺」、「電話で詐欺」などと呼ばれるものはまったく収まる気配もなく、相変わらず高額の被害が続出しています。
そのような、「嘘」で騙されるというのはどういうことなのか。
もちろん犯人側が非常に巧妙な手法を使っているということもありますが、やはり被害者の心理的な性状も大きく関わっているようです。
この本では「嘘」といっても日常生活で誰もが経験するようなものではなく、犯罪や悪徳商法などで見られるようなものを取り扱います。
なお、著者の樺さんは心理学が専門ということではないようですが、人事や能力開発といったビジネス分野の経験が豊富な方のようで、そういった経験から「嘘にだまされる人間の心理」といったものを解析していきます。
だまされやすい人というのはあるようですが、しかし「絶対大丈夫」という人は居ません。
自信を持っている人ほど大きく騙されるということもあるようです。
しかしやはり「だまされやすい」性質というものはあるようで、お人好し、ケチな人、窮地に立たされている人、虚栄心の強い人、現状に強い不満を持っている人というのは危ないようです。
最初に「日常に潜む嘘のメカニズム」と題し、犯罪とまではいかないものの日常生活でよくあるような状況でどのような心理的要因が作用するかということが説明されています。
これは身に覚えのあることばかりで、「いったん引き受けた話は条件が悪くなっても断りにくい」とか「繰り返し訪れるセールスマンには心理的負い目を持つ」、「一度体験してしまったものは手に入れたくなる」などはよくありそうな話です。
もちろん売り手側はそのようなことは承知の上でセールス活動を仕組んでくるのでしょう。
男女関係というのはウソとホントが複雑に絡み合って進行します。
その最たるものが結婚詐欺というものですが、そこには高度な技術が存在します。
相手の女性(男性)の願望をしっかりとつかみ、それに沿ったシナリオを組み、しかも始終やさしく奉仕するということで、やはり並みの人間にはまねできるものではないようです。
ただし、「騙されない人はいない」とは言ってもやはり実際の事件事例を数多く知っておくことは必要でしょう。