政府は脱炭素化に向けて水素燃料の供給網整備に巨額の費用、15年間で官民で15兆円の投資を行なうということです。
その財源は上記日経新聞には明記されていませんでしが、他の新聞などの記事によると「新規国債」とありました。
脱炭素化という、一見間違いのないような政策のためとはいえ、水素にこれほどまでに入れ込むというのは最悪の選択とも思えます。
脱炭素化としては太陽光発電や風力発電、そしてそれらの電力エネルギーを使うための蓄電池による電気自動車や電力送電の平準化による大規模化といったところが主流でしたが、それではどうしても自動車や飛行機などの交通機関などでは極めて非効率であるということで実用上問題ということがようやく分かってきたようです。
そのためか、水素化ということが急激に広がってきたと感じます。
ところが水素というものはちょっと土を掘れば採掘できるなどというものではなく、何らかの方法で工業的に作らねばなりません。
現状では天然ガスなどの化石燃料を化学的に反応させて作り出すのが今のところ主流です。
ところがそれではもちろん「脱炭素」にはなり得ませんのでさすがにまずいということが分かったのでしょうか。
電力を使って水を電気分解して水素を取り出すということを言い出しました。
その電力も火力発電などでは意味が無いので、太陽光発電などの自然エネルギー発電の電力を使って操業することで作り出すのが「グリーン水素」だそうです。
しかしそもそも電力の発電コストの面でも火力発電にくらべて非常に高いのが「自然エネルギー発電」であり、そのために電気使用者から分捕った「賦課金」を付けなければコストが合わない状況であり、そのような高額な電力を使用すれば水素の製造コストも非常に高くなるのは間違いありません。
それでも、世界中が「脱炭素化」でまとまり、それに進んでいくなら水素エネルギーを使った自動車や飛行機も電気自動車、電動ヘリと比べればマシということにもなるかもしれません。
しかし、欧米の脅しにもはや新興国や中ロインドなどは従わないかもしれません。というか、もうその可能性が極めて大きくなっています。
そうなれば、そういった国々は平気で化石燃料を使い低コストで産業を回していけるのに対し、欧米日(米は怪しいですが)が高コストの自然エネルギーや水素を使うということになります。
そうなれば、ただでさえ怪しくなっている欧米日の優位性がどんどんと崩れていくでしょう。
そのような状況で工業生産でも負けるとなれば経済の活性化など全く不可能となります。
国債発行で産業を育成ということは、それで成長すれば納税額も増えるから返せるという思惑でしょうが、これが全く狂うことになるでしょう。
かくて、国債償還も狸の皮算用となり、返せない国債ばかりがさらに膨れ上がっていくということになります。
そういった将来はまだ先の話かと思っていましたが、ウクライナ戦争の余波で中ロが結束、それに他の新興国も同調するという動きが強まる中、意外に近い将来に見えてくるようにもなりました。
短い老い先には見ることがないと思っていた光景を目にしなければならないかもしれません。