環境問題やエネルギー問題などで以前から参考にさせて頂いている、近藤邦明さんの「環境問題を考える」で、太陽光発電や風力発電に関して利用効率や使用する資源量などについて細かい数値を掲載されていました。
(このページはいくつかの記事をまとめて掲載されており、表題は違いますがその中にあります)
太陽光発電や風力発電は現状では経済的に火力発電に代わるだけの能力は無いということはほとんどの人が同意されるでしょうが、今後の技術開発でそれは解決されるという信仰のようなものがあります。
それは決してかなわぬ希望なのでしょうか、実現できる見込みがあるのでしょうか。
なお、近藤さんの解析は非常に詳細で明確なのですが、その中にはどうしてもある程度の疑問点がある中でえいやとばかりに一つに絞って論点を分かりやすくしてしまう傾向があります。
純粋な科学論文であればなかなか言い切れないところを歯切れよく数字を明示するということで、正確性には少し欠けるところもあるかもしれませんが、素人にも分かりやすいという点では有効でしょう。
ただし、そこを突かれることもあるかもしれません。
さて、まだ連続掲載中で続々と記事が増えているようですが、まず11月23日分から。
ここでは太陽光発電と風力発電についてその発電能力の現状から装置規模にまで話を進めています。
どうやら今回の連載ではそれらの発電装置の規模が膨大であり、それに費やす資源とエネルギーの総量はとても装置の発電量の総量では賄えないといった論旨になるようです。
快晴時の南中時の地表面の放射照度が1000W/㎡ということです。
この数値もちょっと荒っぽいようですが、分かりやすいものになっています。
そこに太陽光発電パネルを置いた場合、温度が上昇し65℃程度までは上がるそうです。
するとそこから赤外線照射が起きます。
それが740W/㎡にまで達するとか。
つまり、太陽光発電は最上でもそれを差し引いた数値、160W/㎡です。
一方、太陽光発電の今の実績は、120Kwh/㎡・年です。
これを面積当たり出力(平均実効出力)に換算すると、13.7W/㎡、つまり現状の太陽光パネルの発電利用率は13.7/160=8.6%に過ぎません。
そして、この平均実効出力を「装置全体の重量」と比較するところが近藤さんの独自の方法です。
これは、それだけの資源を費やす価値があるのかどうかということを示します。
つまり、「装置全体の重量」にはその多くが鉄材やガラス、コンクリートなどの資源を用いているからということでしょう。
面積当たりの重量は約20㎏ということで、20/13.7=・・・=1.46t/Kwとなります。
風力発電でも同様の検討がされており、横浜に設置されているハマウイングという風力発電所の数値で計算されています。
定格出力は2MWとされていますが、設備利用率は15%と見積もられ、平均実効出力は300kw程度となるようです。
風力発電では羽根を支える架台が非常に大きいものとなりますが、地上部の構造物だけで240t、基礎部のデータは出されていませんが仮に地上部部分の50%程度として、合計で360tあまり。
電力量当たりの構造物重量は、357t/300kw=1.19t/Kwとなります。
ちなみに、300kw程度のディーゼル発電機を考えるとその重要は約6t、電力量当たりの構造物重量は、同様の計算方法によれば 0.02t/Kwとなります。
これは太陽光、風力と比べれば60分の1であり、太陽光発電、風力発電が発生する電力に対しいかに資源を大量に使っているかを示しているということです。
さらに現在開発が進められている海上風力発電は地上風力発電と比べても2倍以上の資源を使うはずです。
また、太陽光発電、風力発電ではその出力の不安定さを補うために蓄電池などの貯電施設が必要となりますのでさらに資源量が増します。
さらに全国で電力変動を緩和するためには高規格の送電設備が必要となり、その資源量は非常に大きなものとなるでしょう。
この連載はまだ続きますが、この方向で話は進んでいくのでしょうか。